#その195 父上、母上、ご無事で何よりです
#その195
その中から姿を現したのは、冠こそかぶっていないが、高貴な気品を全身からあふれ出している元国王陛下でティアナの父と王妃様である母である。
「父上、母上、ご無事で何よりです」
「ティアナ、すまん、父が油断したばかりに政権転覆をねらう一派に隙を見せた挙句がこのざまだ」
「父様母様がご無事でさえあればなんとでもなります、さあ、こちらへ」
ティアナは父母をティアロイドで保護する。
「ティアナ、ありがとう、そちらのお方は?」
「国王陛下、王妃様、私はハルト・アマギ、宇宙戦艦ルミナスの艦長です」
「ではあの惑星エルシアに直接進入可能な神の船と噂されている宇宙戦艦の艦長であらせられるのか?」
「はい、神の船ではないですが、ティアナ様の強い意志に共感し、ここまでご一緒させて頂きました」
「そうですか、戦艦ルミナス艦長のハルト・アマギ殿ですね。私はティアナの父で先国王であるエリオット・セレスと申します」
「同じくティアナの母です、エリーナ・セレスと申します」
「これはご丁寧にありがとうございます。この美しいセレスタワーを破壊してしまい、申し訳ございません。後日修復させてください。ここはまだ危険ですので、一旦宇宙戦艦ルミナスへ退避しましょう」
ハルトがそういうと、ティアナがティアロイドを操縦して、2人を包み込んで飛び上がる。
「おお、ティアナよくここまで進化することができたな、これは神の御力か!」
「なんて美しいのでしょう・・・」
国王と王妃は口々にほめてくれる。この二人はぱっと見は人間そのものに見える。
ティアナとの関係はどうなっているのだろうか?国王に対するハルトの第一印象はおっとりしていて、これでよくこれまで国王が務まってきたなというのが正直なところだ。王妃は逆に元気で明るく、国王を支えてきた感じである。
ハルトとティアナのティアロイドはセレスタワーから飛び立つと、空中に停泊している宇宙戦艦ルミナスへ向かう。
「ルミナよりハルト艦長、作戦成功ですね、おめでとうございます」
「ルミナへ、ありがとう、ティアナの父母王を保護している」
「艦長へ、右舷デッキのハッチを開きます。そちらに着艦してください」