#その193 ティアナ、ビルドアップだ
#その193
セレスタワー周辺からは盛んに対空防御が行われて、砲弾が打ち上げられてくる。
砲弾に加えて空軍による戦闘機も飛来し始める。戦闘機は何の予告もなく、宇宙戦艦ルミナスに向かって、ミサイルを遠慮なくぶっ放している。
「そんな攻撃、痛くもかゆくもないな・・・はははは」
ハルトはまるで悪の帝王になったかのごとく、ブリッジの船長席で咆哮する。
やがてルミナスはセレスタワーと同じ高さまで降下すると、そのまま停止し、5k先で対峙する。
「ふふ、宇宙戦艦ルミナス参上、さて惑星エリシアの国王様に申し上げる、そちらはどうしたいのか?」
ハルトは悪役になり切り、自ら名乗りをあげる。
その傍らでティアナは涙をこらえてうつむいている。セレスタワーの最上階にある王の間では、新王妃と新国王が対応をどうするか話し合っている。そこに突然通信が入る。
「私は惑星エリシアの元王女、ティアナです!今こそあなたたちの悪政を終わらせます!」
ティアナからの通信がセレスタワー周辺に流され、周囲にどよめきが広がる頃、宇宙戦艦ルミナスの前部甲板にティアナが姿を現す。
ティアナはルミナスで着ていた制服ではなく、惑星エルシアの一般国民と同じ服を着ている。
「もう一度いいます、私はエリシア王国元王女ティアナ、今ここであなたたちを断罪します!」
ティアナはそう叫ぶと、アリスが一歩前に出て、盛大にポーズをとる。
そして、甲板に出たハルトは、
「ティアナ、ビルドアップだ」
「ティアナ了解!」
すると、ティアナの体を包むようにマイクロマシンが覆いつくし、ティアナを身長10mは優に超えるであろう大型アンドロイドロボット、ティアロイドLへと変貌させる。ティアナは軽くかがんで手のひらにハルトを載せる。
「エルシア国王よ、今そちらに参る。首を洗って待っていろ」
「よし、ティアナ行くぞ」
「ティアナ、了解」
ティアナはティアロイドの背中に装備しているバーニヤを吹かすとセレスタワーに向かって飛び立つ。
ティアロイドは飛び立つと同時に背中に飛行翼を装備し、まっすぐにセレスタワーに向かう。