#その190 宇宙戦艦ルミナスは後部より黒煙と炎を吹きあげながら、海へ向かって一目散に降下する
#その190
敵もバカではないので、武装を変えて追ってきたが、それも見事に撃ち落とす。
「ノバへ、重力コントロール作動、敵に見破られない程度にやってくれ」
「ノバより、上手にやるね」
ノバはそういうと、量子プラズマ重力コントローラを上手に操作して、宇宙戦艦ルミナスの高度を墜落に見えるように下げる。
「アリス、後部に被弾したように見えるスモークを出して」
「アリスより、そう来ると思って、準備しておいたよ」
アリスはそういうと、バルブを開いて、右エンジンよりスモークと炎を演出する。
「ティアナ、王都の近くの海のデータをルミナに送ってくれ」
「ティアナより、水深200mでOK?」
「ルミナより、王都近くの海中に潜り込めそうな場所があります。王都より30k、水深213m」
「よし、ルミナ、そこへ向かって煙もくもく着水後、沈没させてくれ」
「ルミナ、了解」
宇宙戦艦ルミナスは後部より黒煙と炎を吹きあげながら、惑星エリシアの大気を震わせて海へ向かって一目散に降下する。その様は大型宇宙戦艦が墜落しているようにしか見えない。
「ルミナより、着水します、全員衝撃にそなえて!」
宇宙戦艦ルミナスは、海面に派手な水しぶきをあげながら、海へ着水する。
一瞬だけ海面にその端正な姿を見せたが、すぐに艦尾より海中に没していく。
「うお!すごい衝撃だな」
ハルトは思わず声に出すが、ルミナもノバもいたって冷静である。
「ルミナより艦長、着底するまで沈みます」
ルミナの言葉通り、轟音を発しながら、宇宙戦艦ルミナスは海中に没し続け、やがて海底に静かに着底する。
「艦長より総員へ、ご苦労様、惑星エリシア計画第一段階は無事終了とする、しばらく休憩とするからしっかり休んで欲しい」
#惑星エリシア 着底
ブリッジから見える海中は宇宙と同じように真っ暗である。宇宙と違うのは星の輝きも一切ない本当の暗闇だ。その暗闇を縫うように、時折魚らしき生物がブリッジの前を横切るのが見えることで、ここが海中であることを実感する。