#その19 なんだ、なんだ ルミナさん、何が起こったかわかるか
#その19
今ハルトが装着している装備一式は会社からのレンタル品だ。これらの装備は自分で購入してて仕事に臨めばさらに高収入が見込まれる。
この仕事の希望者が少ないのは働く場所が宇宙空間であり、危険と隣り合わせと思われているためであろう。
初心者はデブリを見つけることがそもそも難しいのであるが、ハルトはルミナのおかげでどんどん大きめのデブリを確保することができる。
ルミナはデブリを見つけながら、この宙域の情報をせっせと収集している。ハルトを経由すれば惑星本体と直接リンクすることができるらしく、とても順調のようだ。
「ハルトさん、今日はこのくらいにして戻りましょう」
「ああ、わかった」
ハルトはルミナにそう言われて、ほの暗い宇宙空間に希望の光として見える現場事務所に向かう。
「アマギハルトさん、あなたの回収個数は大したものですよ、初日だというのによくがんばりましたね」
現場事務所の回収担当のお姉さんがハルトをしきりにほめてくれる。
「はい、ビギナーズラックだと思います」
3Dルミナのアドバイスでデブリ回収は順調だ。
「それでは、明日もよろしくお願いしますね」
翌日もハルトは一人でデブリ回収を行う。ルミナの指示に従ってどんどんデブリを捕獲回収が進む。
そしてその翌日もハルトと3Dルミナは順調に仕事をこなす、この日はいつもと少し様子が違う。
「あれ?今日はデブリの回収個数が今までよりもちょっと多いな・・・」
ハルトはスマホに表示されるデブリの回収個数を確認する。今日はここ数日の改修数よりも多いようだ。
しかし、ハルトのが装着している移動用バーニアの推進剤にはまだ余裕があるし、装備にも異常は見られない。それでそのままデブリ回収を続けることにする。
順調にデブリ回収の仕事を続けて、この仕事に慣れた頃のことである。コロニーのはるか向こうできらりと光るものが見えたと思ったら、コロニーの一部から爆炎が上がる。
「なんだ、なんだ。ルミナさん、何が起こったかわかるか」
「ハルトさん、どうやら宙賊がちょっかい出してきたようです」
「このままだと自分は巻き込まれてしまうかな・・」
ハルトの心配通り、宙賊の宇宙船は徐々に距離を詰めてくる。攻撃のレーザーらしき光も太くなる。
「ルミナさん、なにかいい方法はないのか」