#その185 、IW3内進入確認、ワープ航法プログラム開始して
#その185
「ノバ了解、量子プラズマツインエンジン始動するよ」
ノバはそういうと始動レバーをゆっくりと引く。ぐおーんとうなる音が聞こえて、量子プラズマツインエンジンが始動する。
船外に放ってある監視ドローンの映像を見るときれいな青いバックファイヤーが放出されているのがわかる。
「艦長より総員へ、本艦はまもなくIW3に突入する。ゲート内の航行は全てノバに任せるから、よろしくな」
「ノバ了解、ゲートに入るよー」
「よしノバ、ハイパードライブ始動して」
「ノバより、ハイパードライブ回路接続、始動!」
宇宙戦艦ルミナの前方に大きなブラックホールが出現している。インターワープ3内のブラックホールは巨大なトンネルのように見える。
「ルミナよりノバへ、IW3内進入確認、ワープ航法プログラム開始して」
「ノバ了解!」
ノバは航法ユニットと一体化し、ハイパードライブを駆動してブラックホール内に吸い込まれるように入っていく。
ホール内では戦闘は不可能なため、安全ではあるが、慣れないと嵐の中を進む船に乗船しているのと同じ船酔いに悩まされる。
「艦長よりアリスへ、ワープ酔いは大丈夫か?」
「アリス了解、ワープは初めてではないので、大丈夫です」
「艦長よりティアナへ、ティアナはワープは何度目かだからOK?」
「ティアナより、はい、大丈夫です」
「カノンはどうだ?」
「カノンより、主砲はそもそも酔わない、です」
「じゃあダメなのは俺だけか・・」
ハルトは前のワープ時よりもワープ酔いはましな気はするが、頭の中がぐらんぐらんする感覚がいつまでも抜けない。ぐにゃぐにゃの床に立っているようで、気持ちが悪い。
「ハルト艦長、ワープ酔いにはこれが効きますよ」
アリスがマイクロマシンで精製したワープ酔い止めを服用してからはずいぶん気分は良くなったが、こればかりは慣れるしかない。艦長が一人だけげろげろしているのはなんといってもかっこ悪いじゃないか。
「うーん、やっぱり気持ちが悪い」
ハルトはぼやきながらもIW3内ワープ航行を続ける。