#その183 目を付けたのは美男子同士の恋愛小説、つまりBL本だ
#その183
「あのー艦長さん、艦のライブラリーに書籍データはたくさんありますよ」
「えっ?じゃあそれをダウンロードすればいいのかな?」
「はい!そうすれば読めると思います!」
「よし、じゃあ戻ったらさっそく本を選ぼうかな」
ハルトが一人ワクワクしている頃、ルミナには変なスイッチが入ってしまう。ルミナが目を付けたのは美男子同士の恋愛小説、つまりBL本だ。
「あの、ハルトさん、私も本を読んでもいいのでしょうか」
ルミナはハルトに真剣に尋ねる。
「ルミナ、もちろんいいけど、ルミナはどんな本がいいんだい?」
ハルトは何気なくルミナに聞くが、その返事は・・
「ハルトさんの、バカ!」
であった。
ルミナはBL本に興味を持ってしまったことを恥ずかしく思ったのかもしれない。ここに宇宙で初めてBLファンのRAIが誕生する。後の世でBL本のことを隠語で{ルミナ}と呼ぶのはこれがルーツである。
それはさておき、ノバとリリアはコミック本に興味を持ち、アリスはものづくりの本がいいらしい。ではティアナはというと・・・
「ねえ、ティアナはどんな本に興味があるんだい?」
ハルトはそういいながら、ティアナが目で追っている本のタイトルを見る。
{生体とメカの融合}、{アンドロイド概論}、{AIと神の在り方}、{遺伝子操作のコツ}などの専門書であった。ティアナに似合う仕事はどんなことだろうかとハルトは考えさせられてしまう。
「ティアナは学者さんだったの?」
「いえ、そんなだいそれたものではなかったですが、学ぶことは好きで、お城の図書館の本はよく読んでました」
「それはすごいなあ」
「惑星エリシアから外交のために他の星に向かっていたのですが、エリシアで大きな政変があったらしくて、緊急信号を受信しました。それでアスター号で惑星エリシアに戻るところ攻撃されました」
「そうか、その戻る最中にアスター号が宙賊に襲われたのか?」




