#その161 カノン、艦首主砲陽電子キャノン発射トリガ任せる
#その161
「ノバより艦長、了解、量子プラズマツインエンジン出力80%に増速、惑星ルクレアの重力を振り切るよ」
「ノバ了解、やってくれ」
宇宙戦艦ルミナスは量子プラズマツインエンジンを増速し、惑星ルクレア重力圏を脱出し、そのまま周回軌道に進入を果たす。
「ノバより艦長、周回軌道に乗ったよ、次はリリアに任せるね」
「リリアとカノン、艦首主砲陽電子キャノン発射準備!」
「リリア了解」
「カノン了解」
「リリアへ、陽電子キャノン出力だが今回はしぼって10%、目標は前方のデブリ、一撃粉砕を狙え」
「リリアより艦長、了解、量子プラズマジェネレータからプラズマエネルギーを艦首主砲陽電子キャノンに送ります、エネルギー回路接続、陽電子キャノンにエネルギー充填開始」
「ノバ姉、プラズマエネルギー、陽電子キャノンに回して」
「ノバ了解、陽電子キャノンエネルギーバイパス回路正常動作中」
びいーん、びーんとプラズマエネルギーが陽電子キャノンに注入される際の電子流が周囲に共鳴する音が聞こえる。ブリッジ内は若干静電気を帯びるのか、ハルトの髪の毛が徐々に逆立ってくる。
「リリアより艦長、まもなく充填10%、艦首主砲陽電子キャノン発射可能になります」
「よし、カノン出番だ、艦首主砲陽電子キャノン発射制御任せる、目標正面のデブリ、出力10%、総員対衝撃対閃光準備して!」
艦首主砲陽電子キャノン発射に備えて、ブリッジの窓全てに防御用シャッターが降りてくる。そのため外の様子はモニタを通してだけ見ることができる。
「カノン了解、艦首主砲陽電子キャノン、格納扉開きます」
宇宙戦艦ルミナスの艦首が変形し、格納扉が解放される。艦首に主砲陽電子キャノンがその姿を表す。
「カノン、艦首主砲陽電子キャノン発射トリガ任せる、頼んだぞ」
「カノンより、発射トリガ受け取りました、照準修正0125、3,2,1,0・・撃て!」
きゅいーん。
その瞬間、あたりはまるで恒星が爆発したような光に包まれて何も見えなくなる。
「おおおっ!」
モニタは飽和して、真っ白だ。
光が収まると周囲の状況がモニタに映し出される。目標のデブリは粉砕されて、粉々になったらしく、跡形もない。
「カノン、やったな、大成功だ、主砲陽電子キャノンは出力10%でこれか、すごい破壊力だな」