#その154 カノンちゃん、そうつんつんしなさんなよ
#その154
ハルトはリリアの横に立つ。
「衛星キャノン、言いにくいな、とりまカノンでいいか、カノンちゃん、この船の船長ハルトです、よろしくね」
「船長さんですか、カノンでいいですが、私は創造主の命令しか受け付けない仕組みになってますよ」
カノンははなっから、反抗モードだ。
「カノンちゃん、そうつんつんしなさんなよ」
「ハルト船長、なれ合ってもだめですよ、私は・・・」
「創造主の言うことしか聞かないっ、でしょ?」
「ねえねえ、創造主かどうかってどうやって見分けるの?」
「それは、創造主に会えばすぐにわかると私のメインメモリの一番最初のセクタにインプットされています」
ふーん、ハルトは考える。これまでの流れで行くと、カノンの創造主はきっと・・・ハルト誰もいない空中に視線を向けると、迷わず呼びかける。
「あーあー、女神ソフィア様、見てますよね」
「あら、ハルトさん、ばれてた?」
「見ての通りですよ、創造主の言うことしか聞かないってるんですよ、顕現してカノンちゃんを説得してもらえませんかね」
「なんだ、ばれてたのね、しょうがないわねえ」
女神ソフィアはそういうと、操船室内に白い霧を漂わせる。操船室内はなぜかやれやれという気配が漂う。霧が晴れる頃を見計らって、女神ソフィアはその神々しい姿を顕現する。
「ハルトさん、これで、どう?」
「ソフィア様、何もそんな演出しなくてもいいんじゃないですかね」
「ハルト、おだまり」
「ちょっと、私を無視してハルト船長は誰と話をしているの・・?」
その時カノンの目に女神ソフィアの姿が目に入る。
「あっ、あの、その、カノンといいます、あなたは私の創造主様ですね、一目でわかりました」
「おおっ、そちはカノンと申すのか」
「は、はい、初めまして、あなたが私のご主人様ですね、私を作られた方ですね」
「そうであるぞよ、今日まで任務を立派に果たして、大儀であった」
「はい、ありがとうございます。しかし、私は任務に失敗してしまいました」