#その15 人類には男女が交際を始める宣言として、オツキアイ、というワードがあった
#その15
「ああ、ごめん、あのっ!そのっ!」
ハルトはしどろもどろになりながら、何か話題を探す。そしてようやく話し始める。
「えっと、たいした力はないけれど、ルミナさんのためにできることはなんでもやるので、お付き合いよろしくお願いします」
ハルトは3Dルミナに向かってそういうとぺこりと頭を下げて、手を差し出す。
ルミナは遠い記憶の中にその昔の人類は男女が交際を始める宣言として、オツキアイ、というワードがあったことを思い出す。そして、了承の合図に差し出された手を握り返すとあったことも。
「ハルトさん、こちらこそよろしくお願いします。小さな体でごめんなさい」
ルミナはそういうと3Dルミナの小さな手をハルトに向かって差し出す。
ハルトは喜びを体全体ににじませて、3Dルミナの差し出された小さな手を握り返す。実際は握ったことにするだけであるが。
そんなわけで、ここに異世界宇宙転生者の天城ハルトとRAI実在人工知能のルミナ・サンシャードの不思議なカップルが誕生する。
ハルトはルミナとのビデオ通話を終えると、ロビーにあるカフェでコヒーを片手にくつろぐ。
「ルミナさん、かわいいなー、彼女になってくれたんだなあ」
そうつぶやくと、ハルトははっと我に返り、次はどうしたらルミナとデートすることができるかを考える。
*ハルトのアルバイト
「ねえ、ルミナさん、お話しできる?」
ハルトは思い切ってルミナに話しかける。
「えっ、ハルトさん、ルミナだよ」
「ねえ、どうしたらルミナさんにもっと会うことができるの?」
ハルトは真剣にルミナに呼びかける。
「そんな、うれしいけど、無理しないでね」
「無理するわけじゃないんだ。ルミナさんに会えるならできることを試したいだけなんだ」
「うん、うれしい、ルミナはとっても幸せです。えっとね、ハルトさんがそのコロニーの外側に出てからルミナを呼んでくれれば、ルミナはハルトさんの傍に行けるかもしれないです」
「そうか、うーん、どうしよう。」
「ほんと、ハルトさん、無理しないでね」