#その144 アリスはうるうるさせながら上目遣いで、それがまたすごく可愛い
#その144
「じゃあ私でいいんですか?」
「もちろん!お前は大切な仲間だ!」
ハルトは力強く言う。しかしアリスはまだ不安な様子だ。
「ハルト船長、じゃあ、証拠を見せてくれますか?」
「アリス、証拠って・・?」
「ハルト船長、ぎゅっとしてください」
アリスはハルトを見つめると真剣なまなざしでハグを要求する。
「え・・・まあ、いいけど」
ハルトはそういうとアリスを抱き寄せる。
ハルトの両腕にすっぽりと収まる小さなアリスの体。そして実体はないRAIなのにアリスの体温をハルトは感じる。その体は柔らかくて温かい。ハルトはしばらくそのままでいる。
「なあ、これでいいかな?」
「はい!最高です!」
アリスは満面の笑顔で答える。どうやら納得してくれたみたいだ。しかしその後すぐにこう続ける。
「でも、もっと証拠を見せてください」
そして再びハグを要求する。
「え・・・まだあるのか?」
「はい、ハグとキスです」
ハルトは悩む。しかしここは船長として乗組員のお願いは適えないといけないだろう。そう決めたハルトは再びアリスを優しく抱擁する。そしてそのまま彼女の唇に軽くキスをする。
アリスもハルトのキスに応えるように唇を強く押し付けてくる。それはまるで恋人同士のキスのような濃厚なものだ。その感触に思わずハルトは我を忘れそうになるが、なんとか自制して離れる。
「アリス、可愛いよ、大好きだよ」
「はい!ハルト船長、私も船長もみんなも大好きです」
アリスはうるうるさせながら上目遣いで、それがまたすごく可愛い。
「アリスは、あの宇宙ドックに閉じ込められていたんじゃないのか?」
「そうです、元はどこかの宇宙船に乗り組んでいたはずなのですが、気が付いたら惑星アルメリアにユニットごと落ちていました。」
「それは驚いただろう」