#その143 いやさ、俺なんかには勿体ないくらい可愛いと思うぞ
#その143
「そんなことはないぞ。前にも言ったけど、俺の大切な仲間だよ」
ハルトの言葉にアリスの顔が少しだけ明るくなる。
「本当ですか!」
「ああ、本当だよ」
「よかった・・・私捨てられないんですね・・・」
そういうとアリスはなぜか泣き出す。
「おいおい、どうしたんだ?」
ハルトは慌ててベッドから飛び起きてアリスに近寄る。しかしアリスは泣きながらもこう言い続ける。
「だって、ハルト船長にはルミナさんがいるし・・・」
「え?なんでそうなる?」
「だって、さっきも二人で楽しそうにしてたじゃないですか」
アリスはどうやら誤解しているようだ。
「いや、あれはただ冗談を言ってただけだろ」
「でも・・・ルミナさんはすごく可愛いから・・・」
「おいおい、お前何言ってるんだ?」
ハルトがそう聞くとアリスはこう続ける。
「私はRAIだから人間じゃないんです」
「いや、ルミナだって同じRAIだよ」
「でもルミナさんは大人の女性だから・・・」
どうやらアリスは自分が女としての魅力がないので、ハルトに捨てられるのではないかと心配しているみたいだ。
「なあ、アリス、お前って可愛いよ」
「え?」
ハルトの言葉に驚くアリス。
「いやさ、俺なんかには勿体ないくらい可愛いと思うぞ」
「本当ですか!」
「ああ、本当だ」
「じゃあ私を捨てませんか?」
「捨てないって!なんでそうなるんだ?」
ハルトはあきれて言う。