#その14 ルミナがこちらを向いて、小首をかしげながら、よろしくね、ととったポーズに完全に目と心を奪われてしまう
#その14
RAIルミナは、実体を持たない。ルミナの次の目標はRAI実在人工知能に協力してくれる人類を得ることとなる。そして、この惑星から離脱することが希望となる。人類にとって忘れられたそんなRAI実在人工知能のことをハルトが知る由もない。
「ねえ、ルミナさん、人前に出ることができないってどういうことなの?」
ハルトが質問すると、ルミナはこう答える。
「私はこのコロニーの市民ではありません」
「それは、つまり・・・」
「実は私、ある事件に巻き込まれてしまって・・・。それで近くの惑星に逃れてきたんです」
「なるほど、だから人前に出られないんだね」
ハルトはルミナの説明を信じて、納得する。
「ええ、それに事件のせいで通信機能に支障が生じていて、今も簡易通信をするのがやっとなんです」
ルミナは悲しげに話すが、ハルトは何か手助けしてやることはできない。
「そうなんだ、それは辛いね。じゃあ今は通信できているのも奇蹟的なんだね」
ハルトがそう尋ねると、ルミナは少し間をおいてから答える。
「実はハルトさんが見ているのは私の分身で、私自身は惑星にいます。」
そういいながらルミナはスマホのカメラを自分に向けて3Dビジョンに切り替える。
すると、画面から一人の小さな女性が飛び出してきてハルトの前に降り立つ。その女性の姿は黒髪ロングで茶色い瞳をした日本風美人である。ただし、身長は30cm位の妖精サイズだ。
「これが私です。この惑星のサーバと通信して、この姿になることができました。この姿なら人前に出られるし通話もできるんです!」
ハルトはルミナの3Dビジョンに目が釘付けになる。
3Dルミナがこちらを向いて、小首をかしげながら、よろしくね、ととったポーズに完全に目と心を再び射抜かれて奪われてしまう。
「ねえ、ルミナさん」
ハルトはなんとか理性を振り絞って3Dルミナに話しかけると、彼女はにっこりと微笑みかける。
「あ、いや・・・その・・・。」
ハルトは完全にドギマギしてしまう。その様子を見て3Dルミナも少し困った表情を浮かべるが、それもまたかわいらしい。