#その129 ねえねえ、リリアも何かオークションで買ってみたい
#その129
「ハルト船長、オークションってこうやって進むんですね。面白いですね」
ルミナがハルトの耳元で囁く。
そして次の商品が運ばれてくる。今度は古い本のようだ。表紙には文字が書かれているが、ハルトには全く読めない。
宇宙世界では書物はほとんどがアーカイブ化されてサーバにあるので、紙に印刷されていること自体が珍しい。司会者は説明を始める。
「これは宇宙歴2200年代にある惑星で発見されたもので、内容は当時の文化や歴史について書かれています。1500万からスタートです」
一人の男性がすかさず手を挙げる。
「3000万だ!」
会場は再びどよめく。
司会者性は言う。
「はい!ありがとうございます!他にはいらっしゃいませんか?」
しかし誰も反応しない。
「それでは1500万で落札です!」
その後も様々な商品が出品される。どれも古代のアーティファクトかと思われる貴重なアイテムが多いが、ハルトには興味がないものばかりだ。リリアが言う。
「ねえねえ、リリアも何かオークションで買ってみたい」
と駄々をこねる。
ハルトがどうしようかと逡巡しているとルミナが助け舟を出す。
「じゃあリリアに合うおもちゃはないかな?」
司会者に聞こえるようにルミナが言う。すると司会者がそれに応えるように言う。
「では、これより次の商品をご紹介します!」
どうやら次はおもちゃらしい。リリアはステージに近寄り、目を輝かせながら見ている。ハルトは小声でルミナに聞く。
「リリアが気に入るおもちゃが出展されるといいね?」
ルミナは少し考えた後に答える。
「うーん、あればいいですが、ノバと一緒に遊べるものだといいですね」
司会者が紹介するのは色とりどりのブロックだ。子供用の小さなサイズのものが沢山並んでいる。




