#その128 *IWS2のオークション
#その128
*IWS2のオークション
「ハルト船長、あそこにおーくしょんって書いてるけど、なにするところ?」
ノバが{オークション会場}と書かれたおしゃれな看板を見つけてハルトに聞く。
「ああ、あれは普通のお店と違って、出品した商品を買いたい人が値段をつけるお店だよ」
「じゃあ、ノバがうんと安く買うこともできるの?」
「ノバが欲しいものを他の人が欲しがらなければそうなるかもね」
「他の人と欲しいものがかちあったらどうするの?、じゃんけんで決めるとか?」
「いや、一番高い値段をつけた人が買うことができるんだよ。舞台の上で品物が紹介されて、値段がだんだん高くなるんだ」
「ふーん、面白そうだね、入ろうよ」
リリアも言うので、一行はオークションストアに入店する。
オークションストアの店内は落ち着いた雰囲気でまとめられており、いかがわしい雰囲気は皆無だ。店内正面には小規模なステージがあり、その前にテーブルが並んでいる。
テーブルにはそれぞれに客が座っている。ハルトたちも空いている席に座ると司会の男性が颯爽と登場し、ステージ中央で一礼する。オークションの始まりだ。
「さあ皆さんお待たせしました!これより本日第1回目のオークションを始めます!」
司会の男性がマイクを使って話し始めると会場は拍手に包まれる。
「本日の最初の出展はこちらです」
司会者は一つの大きな板状の商品を展示する。それは古い時代の絵画のようだ。
「この絵画は宇宙歴2180年に宇宙港にて発見されたものです。保存状態もよく、鑑定の結果相当な価値があるとのことですがどうでしょうか?最低入札額は1000万クレジットからです!」
するとハルトの隣から声があがる。
「2000万だ」
会場にどよめきが起こる。
一人の男性が手を挙げているのだ。司会の男性は言う。
「はい!ありがとうございます!他にはいらっしゃいませんか?」
しかし誰も反応しない。
司会者は言う。
「それではただ今の値段で落札です!おめでとうございます」