#その12 その瞬間、ハルトはルミナに一目ぼれしてしまう
#その12
「こんにちは、ルミナ・サンシャードです。」
そんなメッセージが送られてきているので、ハルトはコヒーを注文するとさっそく返信する。
「こんにちは、初めまして。僕は男性で宇宙船の乗組員をしています。今は長期休暇の最中です。もしよかったらランチをご一緒しませんか?」
ハルトがそう送るとすぐに返事が返ってくる。
「ありがとうございます、うれしいです!では、2時間後に宇宙港見学ロビーで待ち合わせしましょう!」
またまた宇宙港見学ロビーで待ち合わせることに引っかかりがなかったわけではないが、ハルトはカフェを出て再び宇宙港ロビーに戻る。
約束時間の5分前、ハルトはロビーの椅子に座り、あちこちをきょろきょろと見回す。前の二人は男をひっかけることに力を注いでいたせいか、早めに着いていたようだが、ルミナ・サンシャードらしき黒髪ロングの女性は見当たらない。
「ハルトさん、ハルトさん。」
そう声がするので、周囲をみまわすと、誰もいない。
声はハルトのスマホから聞こえてくる。ハルトはスマホのビデオ通話をルミナと表示されている画面に接続する。
「ハルトさん、はじめまして、こんにちは」
「ルミナさん、こちらこそ、はじめまして、ハルトです」
ハルトはルミナの容姿をチェックする。サイトの写真と同じ黒髪ロングで茶色い瞳をした日本風美人である。日本の高校生の制服風の衣装を着用している。
「あのー、お一人ですか?」
「ええ、そうですけど・・・。」
ハルトはそう答えると、ルミナが話を続ける。
「実は私、このコロニーに引っ越してきたばかりで知り合いがいないんです・・・。それで、もしよかったら私とお付き合いしてもらえませんか?」
ルミナはそう言うと画面越しに頭を下げるしぐさを見せる。その瞬間、ハルトはルミナに一目ぼれしてしまう。
「もちろん、いいですよ。でも、まずはお会いしたいのですが」
「ハルトさん、あなたのいうことはもっともなんです。でもしばらくはビデオ通話でお願いできないでしょうか。」
「なにか事情がありそうですね。わかりました。ビデオ通話でいいですよ」
ハルトはルミナへの好意をなんとか隠しつつ、冷静を装って返事をする。