#その11 【挿絵ルミナJK】名前はルミナ・サンシャード そこには黒髪ロングの女性が写っている
#その11
「このコロニーで異性同士が結婚できるなんて、そうね、100人に一組くらいかしらね。しかも私のような美人がお相手なんて、もう金輪際あなたにチャンスはないかもね」
スペースレディがどうしてこんなに自信にあふれているのかその根拠は不明だが、ハルトはそろそろ相手をするのに疲れてきている。そこで、そろそろ切り上げるべく反論を仕掛けていく。
「あの、スペースレディさん?あなたは宇宙港の職員なのに、不正に私の個人情報を入手して、こうしてデートに誘うなんて、役所にばれたらこれもんですよ」
ハルトは首に手をあてて、水平に動かすしぐさをしながら、冷静を意識してスペースレディに揺さぶりをかける。
「そんな、あなたがなんでそんなことわかるのよ」
「まあ私にもいろいろ伝手があるのでね」
ハルトがそこまで言うと、形勢不利と悟ったのか、スペースレディはそそくさと席を立つそぶりを見せる。
「ふん、あなたこそA級市民なのにこんな出会い系アプリを使っているなんてばれたら、大変なことになるでしょうね」
「おっと、それ以上は言わない方がいいですよ。ミス・ハリソンさん」
ハルトがそこまで言うと、名前がばれた以上駆け引きは危険と悟ったのか、スペースレディことハリソンは無言でカフェの外に出ていく。おい、ここのランチ代、置いてけよ。
ハルトはアプリを確認すると、もうすでにスペースレディのアカウントは削除されている。実に素早い対応である。こういうところはなんだかプロっぽいなとハルトは感じる。宇宙港の勤務というのもおそらくでたらめだろう。
「ふぅ。」
ハルトは深くため息を吐き出す。
異世界宇宙とはいえ、二人続けて詐欺まがいに出会ってしまうとハルトもさすがにへこむ。地球世界もここ異世界宇宙も人間やることは同じだな、と妙に納得してしまう。
「さあ、気を取り直して次の出会いに期待しよう」
ハルトはそういうと再びカフェに入り、席に座ると出会い系サイトにアクセスして新たなメッセージを開く。
「さて、次はどんな人かな?」
ハルトが開いたメッセージの相手には市民等級の記載はない。
名前はルミナ・サンシャード。
写真も添付されているので確認する。そこには黒髪ロングの女性が写っている。年の頃は20代前半だろうか?ハルトにとっては懐かしい日本人女性タイプであるし、写真から奥ゆかしさも感じる。このタイプの女性がハルトにとってドストライクの好みなのだ。