#その109 私の意思を無視して、罪のない人々を次々に・・・
#その109
「この空間ドックのメインシステムに引き寄せられました」
「じゃあ、このドックがアリスの命の恩人ってわけか」
ううん、とアリスは首を横に振る。
「それならよかったんですが、空間ドックとその運営者は私を使って、惑星アルメリアを征服したんです」
RAI実在人工をどうやって屈服させたのかわからないが、アリスはさぞかし万能の神に等しい存在となったであろう。
私の意思を無視して、罪のない人々を次々に・・・
「」
その時のことを思い出してアリスは俯く。
「そうか、つらいことを話させたね」
「自分自身が恐ろしくなった私は、惑星アルメリア周辺にバリヤーを張り巡らせて、誰も出入りできないようにしました。そしてこの1000年を一人で過ごしてきました」
「それでこの惑星には人がいないんだね」
「それでハルト船長が私を解放してくれてとてもうれしかったのです」
「もっと早く来れればよかったのだけどね。」
「そんな、今で十分です。」
「さあ、湿っぽい話はここまでにして出航するぞ。」
「ハルト船長、」
「アリス、なんだい?」
「私はみなさんと一緒には行けないのです。」
「どうしてかな」
「私は惑星アルメリアの管理者として力を使いすぎたのです」
「これからはそんなに全力は出さなくてもいいんだよ」
「もう、RAIユニットとしての寿命が来ています。」
「そうか、それは残念だね。」
「ハルトさん・・・お願いがあるのです」
「私をリリアさんに組み込んでもらえませんか?」
「それはどういうことなの?」
「リリアさんがRAIユニットの真価を発揮できないのは、私のような対になるユニットが見つからないためなんです。リリアさんはRAIの中でも双子ユニットなんです。私はそのパートナーになりたいんです。」