#その108 そんな、こと、あるわけ、ないでしょう
#その108
「船長了解、もう見つけてあるよー」
「よしよくやった、手早だな」
「ハルト船長、これはいったいどういうことなの?」
アリスが納得いかない様子でハルトに尋ねる。
「ははは、簡単なことだよ。」
そういうとノバとリリアが見つけた箱をアリスに見せる。
「アリス、惑星ルミナの重力が増えたのも他の船が着陸できなくなったのも全てあなたが原因ですよね」
「そんな、こと、あるわけ、ないでしょう」
「この箱は多分RAIユニットでこっちがアリスの本体だよね」
「返して、その箱には触らないで、欲しい」
アリスは半狂乱でハルト達に大きな声で訴える。
「いや返さないよ、あなたとの契約通りこのRAIユニットは我々のものだ。つまりアリスあなたは宇宙船ルミナの乗組員になるんだよ」
アリスは黙ってハルトの言うことを聞いている。
「アリス大統領、観念しなよ、もう契約は交わされているんだよ」
「ノバ!リリア!」
「はいなのー」
「はーい」
ノバとリリアは3Dアリスをプログラム的にあっという間に拘束して身動きが取れなくする。そしてハルトは手にしたRAIユニットをルミナに渡す。
「ルミナ、宇宙船ルミナに戻って、RAIユニットをすぐに解析してくれないか」
「わかりました。アリス大統領、あなたはもうどこにも逃げられませんよ」
ルミナがそういうと3Dアリスは観念したように目をつぶる。ハルトはもう大丈夫だろうと判断し、アリスの拘束を解く。そしてそっと抱きしめる。
「アリス、惑星アルメリアを一人で守ってきたんだろ、大変だったな」
ハルトはアリスにそう話しかける。
「ハルト船長、何年前でしょうか。気が付くと私、惑星アルメニアに墜落していたんです」
「それは驚いただろう」
「どんどん加速して、このままでは地表にぶつかって粉々になる、と思った時、」
「うん、その時に?」