memory7. 誰?
その後が地獄だった。
「学年委員長は高村さん、安全委員長は加藤さん…」
そう、PTA!母親が大変だと嘆いていたあのPTA!中には「仕事があるから」などと言って断わっている人もいる。
「大倉さん」
「は、はい!」
「大倉さんはお仕事の都合などはありますか?」お給料もらって家事をしているなどそんな事は言えない。
「前は広告代理店で…今は」
「なら、広報誌担当にぴったりじゃない。決まりね」
「えー」なんて言えない。
とぼとぼと帰ると裕貴君が満面の笑みで
「お帰りなさい!」と迎えてくれた。癒される…。「ただいま」着替えて夕食の準備にとりかかる。
「今日の作文、良かったわよ」
「本当?」
「後で修司さんにも見てもらおうね」
「うん!今寝てるもんね」
「そうなのね」昨日、遅くまで仕事をしていたのだろう。夕食の時間だが起きてこない。コンコン。ドアを叩くが出てこない。
「修司さん?入りますよ~」
ドアを開けるとベッドで寝ていた。
「修司さん、ごは…」言いおわる前にぐいっと引っ張られる。「うーん…」距離が近い。逃げようにも捕まえられて動けない。
「修司さん…」
「まゆ…」え?まゆって誰?「修司さん」「う、うーん」うっすら目を開ける。
「え、は、葉月さん!?」
「すっ、すみません。夕食ができたので呼んだのですが…」
「いえ、悪いのは俺なので。すみません」
今日は手巻き寿司。「美味しい!」裕貴君が喜んでくれて良かった。
「そういえば、今日授業参観だったのですが、裕貴君の作文とても良かったですよ」「そうだったんですか、俺も見たいです」「はいっ」修司さんにも見せたが照れくさそうにしていた。
「俺、こんなに良い父親役じゃないですよ」
「大丈夫ですよ。運動不足って書いてありますから、ふふ」
「本当だ」笑いが起きる。
「今度は運動会がありますね」
「見に来てくれますか…?」裕貴君が不安そうに聞いてくる。
「俺は一段落ついたので大丈夫ですよ」
「私はPTAで広報誌の担当を任されたので頑張らないと」
「もしお手伝いできる事があるなら言って下さい」
「ありがとうございます」何て優しい旦那様…役。優しい偽家族だけど気合いを入れて頑張らないと!でも、まゆって誰?修司さんには聞けなかった。




