memory2. 大倉
大倉さんの名前は大倉修司。27歳、私と同い年だ。
「ここがうちです」
古いが雰囲気的には落ち着いていて、懐かしいような一軒家だった。周りは木に囲われ静かでゆっくり過ごせそうだ。
「お邪魔します」
「今日から橘さんの家でもあるんだから気を遣わなくて良いですよ。これカギです」
はい、と渡される。
「どうも」
諸々の手続きを済ませ、荷物は引っ越し業者に頼んでいた。大倉さんとレイアウトを決め、荷解きをしていたらあっという間に日が過ぎていった。
「あとはお隣さんにご挨拶に行かなければいけませんね」
「そうでした!」
ここの間忙しくすっかり忘れていた。
「でもこの格好ではダメですね」ボサボサの髪の毛に伸びた髭。悪いが不審者に見える。ちょっと身だしなみ整えてきますね、そう言って洗面所に向かう大倉さん。私も自分の部屋に行き、着替えを済ませ、メイクも直す。
「そうだ、挨拶の手土産何にしよう?」と言いながら居間に向かうとイケメンが座っていた。は?誰?
「ああ、橘さん。手土産何が良いですかね?」もしかして大倉さん?いや、あの大倉さん!?私がポカーンとしていると「いつも見苦しい格好ですみませんでした。俺、小説とか文を書く仕事で、あまり外に出ない方なんですよ。他の方達は分かりませんが」ハハハなんて笑うけどギャップがすごい。あの国宝級、目○蓮レベルとは!
車で手土産を買いにデパートへ向かう。店を見て歩いていると何か視線を感じる。何だろうと思っていたら、女性は皆、大倉さんを見ていた。小さい女の子からお婆様まで幅広い範囲を魅了するとは、さすがイケメン。
「何か視線をすごく感じるんですけど何ですかね?」君だよ君!「ああ、分かった。橘さんが可愛いから見てるんですね」何という勘違い!「違いますよ。大倉さんがかっこいいからですよ」思わず大きな声で言ってしまう。「そんな事ないですよ。橘さんですって」
『あの人かっこよくない?』
『隣の人彼女かな?』
『えー、ウソ』ほら聞こえてる。
「橘さん、これどうですかね?」速く店を出よう。これ以上目立ちたくない。「それにしましょう!」半ば強引に決め、そそくさと店を出た。
「あとは食料の買い出し…」
「それは私が選んで買ってきますから!大倉さんは車で待っていて下さい」
「今日の夕御飯何だろうな~♪」
よし!私は急いで買い物を済ませ車まで走って行くと
「お兄さんマジでイケメン」
「写真お願いします」
「若いときの爺さんに似とるの」
「あの、これ番号です。良かったら」囲まれていた…。
「ああ、橘さん!」大倉さんは私に気づいて声をかけてくれるが近寄れない。どうやら車に乗り込む前に捕まったようだ。
「あの人彼女さんですか?」一人の高校生らしき女の子が聞くと「同居人ですよ、シェアハウスみたいなモノです」その言葉に心がチクンと痛んだ。なぜだろう。そうだ、元カレの事を思い出したんだ。それに違いない。




