memory13.秘密?
夏休み前、裕貴君が複雑な顔をしながら帰ってきた。
「ただいま」
「お帰りなさい…どうしたの?」
「これ」渡されたのは通知表だった。懐かしい。
「見るわね」
「お帰り~」そこにモサモサ期の修司さんが部屋からでてきた。
「どうしたの?」裕貴君が真面目な顔で「通知表がきました」と答える。
「懐かしいな~。まあ、俺の場合は本の売れ行きが通知表みたいなものだけどね」
「さて、見てみましょうか」パラッとめくる。ほぼ「3」だった。
何と言ったら良いのだろうか…。
「あら、国語が『5』よ!修司さんとお勉強したおかげね!」
「お役に立てて何よりです」ここは笑顔の裕貴君と修司さん。
「でも算数が『1』ね…」
しょんぼりする裕貴君。
「ごめんなさい…」
「怒ってないのよ。夏休みの間にお勉強すれば良い点とれるわ!頑張りましょう!」
「はい」
どうやら裕貴君はかけ算が苦手らしい。分かる。私も覚えるのに苦労した記憶がある。買い物のついでに本屋に立ち寄ってみた。目的は「小学2年生の算数ドリル…どこかしら」
「それでしたらこちらですよ」店員さんが案内してくれる。
「ありが…鈴城君?」
「もしかして葉月ちゃん?」
モサモサ期を脱する為、大倉は美容院に向かっていた。すれ違う人達が不審者でも見るような目付きで通っていく。そんなにひどいのだろうか?
葉月はそういう事にうるさくないので本当はどう思っているのだろう。そんな事を考えていると、葉月の声が聞こえてきた。
「ありがとう!鈴城君。また来るね」
「こちらこそ。待ってるよ」本屋の店員だろうか?それにしても仲が良さそうだ。それに思わず隠れてしまった。いやいや、これではますます不審者ではないか!速く行こう。
「ただいま~」帰ると裕貴と葉月が勉強していた。「お帰りなさい。あら、髪切ってきたんですね」
「お帰りなさい」難しい顔をしていた裕貴もパッと顔を上げる。
聞いてみようか…。
「あの、葉月さん」
「はい?」
「今日、本屋に寄ってませんでしたか?」
「いっ、いいえ!?」
何故か隠された。
「そうでしたか。美容院に行く途中で見かけたのですが…違いましたか」
「普通にお買い物に行ってきましたよ」
「すみません」
「イエイエ」
自分の部屋に戻る。何故だ?何故隠す?あれは確かに葉月だった。それにあの鈴城?という男性と仲が良さそうだった。恋人!?だったらこの状況は良くないはずだ。分からない事だらけだ。でも何でモヤモヤするのだろう?




