邂逅
まっすぐな光が、地平線の彼方から差し込む。
紺碧の夜空の端が白く染まり、世界が輪郭を取り戻す。
闇の支配する時間は、終わりを告げようとしていた。
†
小高い山の上に建てられたこの校舎からは、遠くがよく見える。
武藤咲良は屋上への入り口がついた、四角いコンクリの上に立っていた。
12月。
屋上は、風が冷たかった。
黒桜高校。
彼、武藤咲良の在籍する高等学校。
彼のような退治屋が普通に生活する場所。
退治屋。
人ならぬ邪なモノを退治する者。
人に見えぬ世界を垣間見る者。
現に戻る時、咲良はいつも一人でまだ夜の明けないうちからここにくる。
どんよりとみぞおちに溜まった重い気持ちを拭い去るために。
一陣の風が吹き抜けた。
咲良は手をかざして、視線を落とす。
「・・・・・・?」
少し先の柵上に、少年が立っていた。
いつからそこにいたのだろう。
暗闇のせいで気がつかなかったか。
いや、違う・・・。
「きれいだね」
少年は何事もなかったかのように、咲良に向かって口を開いた。
「ん?」
「ここ」
白い光が少年の柔らかな微笑みを照らし出した。
あれは、人じゃない。
咲良はぼんやりとそう思った。
「そうだろ」
けれど咲良はいつもと変わらない調子で答える。
この子供は、きっと・・・・
「もう少し、ここにいる」
その言葉を残して少年は消えた。
咲良はふっと、ため息を吐いた。
柵の向こうには、いつもの景色が広がっていた。
†
鮮やかな橙色の光が、世界の色を取り戻す。
そして世界は、光とともにまた人の手に戻るのだ。
朝がきた。
この町はもう少し、生き延びるのだろう。
end.
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words.
黒桜高校
武藤咲良




