表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

邂逅

作者: るーく
掲載日:2023/06/06

まっすぐな光が、地平線の彼方から差し込む。


紺碧の夜空の端が白く染まり、世界が輪郭を取り戻す。

闇の支配する時間は、終わりを告げようとしていた。



          †



小高い山の上に建てられたこの校舎からは、遠くがよく見える。

武藤咲良は屋上への入り口がついた、四角いコンクリの上に立っていた。

12月。

屋上は、風が冷たかった。


黒桜高校。

彼、武藤咲良の在籍する高等学校。

彼のような退治屋が普通に生活する場所。


退治屋。

人ならぬ邪なモノを退治する者。

人に見えぬ世界を垣間見る者。


現に戻る時、咲良はいつも一人でまだ夜の明けないうちからここにくる。

どんよりとみぞおちに溜まった重い気持ちを拭い去るために。


一陣の風が吹き抜けた。


咲良は手をかざして、視線を落とす。


「・・・・・・?」


少し先の柵上に、少年が立っていた。


いつからそこにいたのだろう。


暗闇のせいで気がつかなかったか。




いや、違う・・・。




「きれいだね」


少年は何事もなかったかのように、咲良に向かって口を開いた。


「ん?」


「ここ」


白い光が少年の柔らかな微笑みを照らし出した。


あれは、人じゃない。


咲良はぼんやりとそう思った。


「そうだろ」


けれど咲良はいつもと変わらない調子で答える。


この子供は、きっと・・・・


「もう少し、ここにいる」


その言葉を残して少年は消えた。





咲良はふっと、ため息を吐いた。

柵の向こうには、いつもの景色が広がっていた。


          †


鮮やかな橙色の光が、世界の色を取り戻す。

そして世界は、光とともにまた人の手に戻るのだ。


朝がきた。




この町はもう少し、生き延びるのだろう。


end.


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

words.

黒桜高校こくおうこうこう

武藤咲良むとうさくら


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ