いつもと変わらない日
ある夏の日。
ここは、大学にある学生食堂。
『ミカ、また寝不足なの?大丈夫?』
向かいに座る親友のサオリが声をかけてきた。
『大丈夫!また昨日寝る前にゲームしちゃっただけだから』
と、正直に私は伝えた。
私は、ミカ。大学2年生。
黒髪のボブカットでセンター分け。
身長は160センチほどの普通体型で、ごく普通の女子大生だ。
実家住みで、電車で30分かけて、平日は毎日大学に通っている。
親友のサオリは高校からの友人で、同じく実家暮らし。
同じ大学の別の学部に通っているが、お互いに3年生まではフル単位を目指しているので、割と登校日がかぶっている。
なので授業の時間が被った日は一緒に登校したり、一緒に学食でランチを取ったりしている。
今もランチ中だ。
サオリは私がゲームにハマっていること、さらに推しのプロ選手がいることも知っている。
さらに、ゲームプレイや推しの動画配信視聴が原因で、寝不足の日があることも認識してくれている。
「ゲームもいいけど、もう少しで前期末のテストだよ。せっかくいい成績残せてるんだから、今回も頑張らなきゃ!」
とサオリに言われてしまった。
2人とも実家住みでアルバイトも周りに比べると少ない。
さらに、授業は真面目に受けているし、課題もしっかりしている。
そのため、2人とも今まで好成績を残せているのだ。
このことから2人は「卒業までこのまま成績キープし続けよう」という小さな目標を立てている。
「わかってるよー。テスト終わったら夏休みだし、頑張らなきゃ」
と私。
今年の夏休みは何しようか、そろそろ決めてもいいかもね。
「ミカ、私次の授業の教室、食堂から遠いから早めに向かいたいな」
「あ!私もB棟だから一緒に行く!
残りのサンドイッチすぐ食べるからもうちょっと待って」
昼ごはん中だった私は、急いで残りのサンドイッチを頬張る。
そんな風に会話をしながら、私たちは次の授業に向けて準備を始めた。
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その日の夜、晩ご飯もお風呂も済ませた私は自室にいた。
時刻は22時、まだ寝るには少し早い気がする。
「今夜も少しだけやりますかー」
私はゲーム機の電源をオンにした。
本当はゲーミングPCでプレイした方が良いのだろうが、わざわざ新しくPCを買うお金もないので、ゲーム機でプレイしている。
(社会人になったらゲーミングPC買う余裕できるかな?)
そんなことをしながら、テキトーにスタートした。
この時間ならマッチングに時間はかからないだろう。
マッチング待ちの間、スマホで動画サイトを開いて、推しがゲーム配信していないかチェックをする。
「あ、ポコたろーさん配信してる!今夜はトリオ対戦かぁ」
ポコたろーの本名は公表していないのでわからないが、年齢は23歳と公表していた。
彼はプロ仲間と一緒に3人チームでプレイしていた。
オンラインゲームなので、こちらも3人チームでプレイすれば、マッチングでかぶる可能性もあるが、それはあんまり気が乗らない。
配信中のプロゲーマーの動画を見ながら、マッチングを一致させ、しつこく配信者を追いかけたり攻撃することは、ゲームとしてはズルいし、配信者にとっては迷惑なのだ。
ちなみに300人ほどが視聴していた。大体いつもこのくらいかな。
というわけで、私はのんびり1人でプレイしながら、配信を見ることにした。
(それにしても今日もイケボだわ…)
なんて思いながら。
それから30分ほどプレイしていると、だんだんと眠くなってきてしまったので、私はゲームを止めた。
配信はそのまま眺めつつ、ベッドに移動し寝ることにした。
夜更かししたらまたサオリに注意されちゃうし。
実はゲーム配信を見ながら寝落ちするのも、推しの声を聞きながら眠れるので結構好きだったりする。
ただスマホの充電には気をつけなきゃいけない。
電気を消し暗闇でスマホを見ながら、私はベッドへ横になった。
そのうち彼は仲間と別れ、ソロプレイに切り替えた。
しばらくソロでプレイしたのちに配信を終え、寝る準備を始めるらしい。
プロゲーマーは日中反転生活が多いらしいが、ポコたろーは割と普通の時間帯に寝ている印象だ。
そういうところも、『結構ちゃんとした生活習慣送っててかわいい』と謎にキュンとしてしまう。
3戦ほどプレイした後、ポコたろーはゲームを止めたが配信は終えず、視聴者のコメントを読み始めた。
現在の視聴者数は、少し減って100〜120人といったところだ。
早速私もコメントを書き込んだ。
「【ミカ卍】こんばんは!私もそろそろ寝ようと思ってますー!」
咄嗟に書き込んだため、こんなありきたりなコメントしか思い浮かばない。
----「ミカ卍さん、コメントありがとー。おやすみなさーい」
きゃー!読まれちゃった!
めっちゃいい声!
ドキドキして眠気が少し飛んでしまった私は、結局配信をしっかり最後まで見続けてしまったのだった。