手鏡
今回はちょっと長いねん
「次、おい、お前止まれ!」
中年くらいの門番に止められた…。
「?」
「いや、?ではないだろう。通行証を出せ」
「通行証?なんだそれは?」
「町を行き来するのに必要なカードだよ。町をでるときに登録しただろ」
いつの間にかそんな制度ができていたのか。昔はなかったな。
「もってないぞ」
「もってない?盗賊にでも襲われたか?」
「いや、作ってない」
「作ってないって、はぁ?」
「仕方ないじゃないか、そんな制度ないときからずっと外にいたんだから」
「そんなの信じられるわけないだろう。この制度は100年前にできた制度だぞ。普通そんなに長い期間外にいるか?」
いや、おかしいだろ。俺が人里にでていないのは精々15年程度のはずだぞ。
「そんなはずはない。俺は20歳だぞ。数十年前まではそんなのなかったはずだ」
「お前、ほんとにいってんのか?どうみても90歳はいってる顔してるぞ」
なんだとこいつ。俺よりちょっと年上だからってなめやがって。誰が90だ。
「いいや、20だね。よくみろよ。若々しい顔してるだろ?」
ずいぶん自分の顔は見ていないが、きちんと20歳らしい顔つきにはなっているはずだ。
「まじでいってんのか?おい、ちょっと鏡もってこい」
奥から俺とタメくらいの、がっしりとした体格の青年が手鏡をもってきた。
中年門番は手鏡を青年から受け取ると、俺に渡してきた。
「ほら、自分の顔見てみろよ」
はぁ、こいつ感性イカれてるだろ。俺がそんないってるはずないってのに。
俺は渡された手鏡でハンサムになっているであろう顔に鏡を向け、
「……は?え?」
そこに写っていたのは、白髪の、顔にこれでもかとシワのある、しわくちゃのおじちゃんであった。
その顔には若々しさなど感じられず、今にも死んでしまいそうだった。
「いや、おかしいだろ。俺は20のはずだぞ?なんだよこれ、お前、この鏡に変な魔法でもかけてんだろ?じゃないとこんな顔なはずねぇよ!」
「いいや、それがお前の顔だ」
「うそ…だろ…」
そこからはあまり覚えていない。ただ、気づけば町に入るのを忘れて、来た道を引き返していた。
今回はワイ、ちょっと頑張って長めにかいてん。
誉めてもええんやで?
とりま、面白かったら高評価と次話の愛読もよろしぅー!!