2日目
翌日。真冬の様に寒い日。
今日も謎に重くなった体を引きずり家に帰る。昨日の様な自堕落生活を送るのだと決定づけ、家の近くまでやって来た。その時ふと昨日の記憶が頭の中に流れた。
あの少女はあの後家に入れたのか。少し不安に思った。いや、だがまだ小一だ。あの後親が帰って来て、暖かい家へと入れたのだろう。じゃなきゃ問題だ。きっと昨日限りの出来事だろう。そう自分に言い聞かせた。言い聞かせ続けのはきっと心のどこかで今日も少女が家の前でランドセルを抱える姿があったからだろう。そして家に着いた際、心と考えの決着がついた。自分の考えは外れた。心の予想は当たった。そう、今日もまた少女は家の前で待っていた。勿論少女は俺の事を凝視した。デジャブだ。まぁでもきっとまた鍵を忘れたんだ。そうに違いない。いや、運が悪いんだな。俺に何か出来ることは無いからな。そう考えドアノブに手を伸ばしたその時、風が住宅街を通り抜けた。強く冷たい風は体には刺激的で瞬間的に体を丸めてしまう。少女の方を向けば少女は俺の事を見ず自分の体を温めることに専念してた。少女は今日の気温とは合わない薄着だった。そんな少女を自分は見ていることが出来なくなってしまった。八つ当たりの様に強く玄関のドアを開けてバックを放り出し、自分の部屋へと向かいクローゼットを開けた。一つ目に入ったモコモコの上着。買ってから一ヶ月も経ってない。新品の上着。そんなモコモコの上着を少し乱暴に取り出しまた力強く玄関のドアを開けた。少女は玄関のドアの音にきずいたのか、又もや俺を凝視する。その視線に足が止まる。だがそれじゃ意味が無い。そう自分を勇気づけ少女の前まで行く。少女に上着を差し出した。だが寒さか、緊張のせいか口が動かなかった。いや頑張れ自分!と又もやバカバカしい勇気づけをし、口を開く。
「寒いよな。これ足しになるか分かんねーけど…」
自分的には最大限の言葉が出せて喜ぶ。その言葉に喜んだのは自分だけでなく少女もらしく、上着を手に取り抱えた。そして今にも消えそうな、それこそさっきの強風で飛ばされてしまうのではと思える小声で少女は口を開いた。
「ありがとう…ございます。」
不自由な言葉に心温まり、強く冷たい風なんて元から無かった様に感じた。
その後俺は少女の前から逃げるように家へと入った。家の中は暖かく、体が麻痺する程だった。それほど体が冷えていた。たった数分でこうだ。少女が何分間居るのか分からないが、どちらにせよ異常なことに変わりは無い。今すぐに家に入れてやるべきか。いやだが、もう五時だ。暗くなってきてる。流石に親も帰って来てくる。そうだ、帰って来る。そのはずだ。じゃないとおかしい。大丈夫だよな。そう自分に言い聞かせ、自堕落生活を実行する。