3-2死人にも口はある
ゆすら達は病院に着ていた。
りんごが運ばれたからだ。
りんごには外傷と言える外傷はなく。
ただ縛られていた箇所に縄の後が付いただけであった。
雑木林は日掛けが多くさらわれたのが夕方と言うこともあり脱水や熱中症といった症状も見られないらしく。
一晩安静にしておけば回復するだろうと言うことだった。
安心感に包まれたせいかゆすらは壁に背中を付け滑るようにしゃがみこんだ。
桃子も近くの椅子に脱力するように座った。
杏はりんごを見つけた捜査官と話をするために席を外している。
吾は一人蜜柑からの手紙を眺めていた。
蜜柑がなぜりんごだけを特別と言っているのかが意味が解らなかったからだ。
「何でりんごだったんだろう?」
吾の声にゆすらと桃子が顔を上げる。
「りんごは蜜柑と果鈴がさらわれるところを目撃している。ある意味その後犯人に追い掛け回されるようなことがなかったことの方が疑問だな。」
ゆすらが立ち上がりいう。
「今更警察が出てきて困るのは向こうよ。蜜柑達にとっては気が緩んでいる犯人がりんごをさらわれたことで捜査が再開されるようにしたかったんじゃない? 現にあたしたちが杏さんに何も言わないから犯人が目撃者のりんごを誘拐したってことに話が流れてる。」
珍しく桃子が分析のかかったことを言う。
「本当に犯人を俺達に捕まえてほしいのか?」
「なんだ。今までそのつもりで動いていたお前が一番弱気でどうするんだ。」
「俺はただの自己満足に走ってただけだよ。ちゃんと現実見てたのはお前だろ。」
吾は桃子の隣りに移動して座る。
「いや、俺はただ逃げてるだけだよ。本当の現実なんて見えちゃいない。」
「うちの男どもってへたれよね。りんごも苦労するわ。」
桃子が呆れた口調でいう。
そこに杏が戻ってくる。
「りんごの病室に入れるぞ。どうする?」
と聞かれるも
「俺は遠慮しておきます。」
とゆすらが一番に応える。
「どうして? 顔ぐらい見て行けば?」
桃子が聞くとゆすらは困った顔をする。
「昔、寝顔を見ただけで随分怒られた記憶がある。多分今でも嫌なんじゃないかそういうの」
女同士なら解るだろ。
そう言いたそうな顔を桃子に向ける。
「へたれ」
そういって桃子はりんごの病室に歩いて行く。
吾もついては行くが病室の前で止まり
「俺も起きてからでいいや」
と言って桃子だけが中に入った。
りんごが目を覚ましたのは明け方の事だった。
一目で雑木林ではないことが解り首だけを動かし辺りを見渡す。
すぐ横に杏が座ったまま寝ていることが解った。
「兄さん……」
疲れているのだろう。
呼んでみるも反応がない。
自分がどういう状況なのか把握したい。
「兄さん」
もう一度呼ぶもやはり反応はない。
りんごは仕方なく上半身を起こしてから点滴などはされていないか自分の体を見る。
病院着を着ている自分の体には点滴などはなく縛られていた箇所に包帯が巻かれていた。
病室は個室で自分が寝ていたベッド以外はソファーがあり、そのソファーには毛布にくるまった桃子が居た。
「この子ったら何してるのかしら?」
ずれた毛布を直してからスリッパというかベランダサンダルのようなものを履いて病室を出た。
病院内は早朝と言うことで人は見当たらない。
一先ずトイレに行こうと標識に従い歩き出す。
あくびをしながらトイレを出て病室に戻ろうと歩き出すとふと、メガネがないことに気が付く。
病室にあるだろうか?
そんなことを考えながら歩いていると
「りんご!」
という声と共に軽い物が落ちる音がする。
視線を向けると焦った顔の吾が居た。
「何こぼしているの?」
りんごはいつも通り様子で吾に言う。
持っていた紙コップを落としたようだった。
「もう起きて大丈夫なのか?」
「ええ、問題ないわ。それより一晩中病院に居たの?」
吾は笑いながら
「桃子が心配だから起きるまでいるっていったから、ゆすらはおばさんに帰ってくるように言われてしぶしぶって様子で帰って行ったよ。」
「あの家は厳しいからね。」
りんごはあくびをしながら歩き出す。
「ねえ、吾」
病室に入ろうとしてりんごは動きを止める。
「リュウのお父さんが使ってた車って覚えてる?」
「リュウの? あ……よく覚えてない。それがどうかしたのか?」
「あの車なのよ。蜜柑達を連れて行った車、リュウのお父さんの車だった。」
吾の顔驚いたまま固まる。
「じゃあ、父さんが見た人って……」
「リュウのお父さんかもしれない。」
そういうと吾は走って病院を出ていった。
今、この町には吾の父親が来ている。
病室のドアを開けるとそこには杏がたっていて
「びっくりした……!」
りんごが驚いていると
「今の話本当か?」
聞かれていたようだった。
「……うん。」
杏はりんごの頭に手をポンと置き
「気を付けろよ。」
といって歩いて行ってしまった。
りんごはベッドに戻る。
ベッドの近くにある棚にはりんごのカバンが置いてあった。
それを取り、中を開けると携帯と財布、お菓子、教材などそのままになっていたがメガネは見当たらない。
伊達メガネのためそこまで必要はない。
カバンから本を取り出し読み始める。
明け方から数時間。
ナースがこの部屋を何度か訪れる以外特に変化はなかった。
「りんご?」
桃子がやっと目を覚ました。
「おはよう。迷惑かけたみたいね。」
ソファーで寝ていたせいか立ち上がり伸びをしてから肩を回しだす桃子。
「迷惑ではなかったけどこれからは気を付けるのよ。蜜柑以外にも変質者とか居るから」
そういいながら閉めたままだったカーテンを開ける。
窓まで開けると車が走る音が病室に入ってくる。
「クーラーついてるわよ。」
「ちょっとくらい空気を入れ替えないと」
そういいながら桃子が窓から真下を見下ろす。
「こんな朝早くから配達なんてしてるんだ。」
その声にりんごも窓から下を見下ろす。
そこに止まっていたのはリュウのバイト先であり蜜柑からの小包を届けに来た運送会社のドラックであった。
「桃子こっち!」
「え⁈」
いきなり手を引かれ驚きの声を上げつつ桃子がりんごに腕を引かれ走る。
「なんなのよいきなり!」
「あのトラックにはリュウが乗ってるはずよ。蜜柑達をさらった人はリュウのお父さんの車に乗ってた。しかもあの運送会社は存在しないわ。」
ナースステーションに行くもそこにはなぜか誰もいなかった。
仕方なく一階に下りて公衆電話を使おうと思うも受話器を取ると話し中のままつながらない。
「携帯!」
そういわれるも桃子は昨日から充電しておらす残量はゼロ。
りんごも携帯は病室にある。
真っ先に向かうであるりんごの病室に戻るのは危険である。
「外にでて交番に行こう。相手は人間なんだから」
そういって表の大きな出入り口に行くも
「時間外!」
自動ドアは開かなかった。
そのため夜間用で入り口を目指すも途中で足が止まる。
「やっと見つけた。りんごちゃんどこ行ったのかと思ったよ。桃子ちゃんも一緒だったんだね。」
目の前にリュウが居た。
ゆすらは学校にいくことなく病院に向かっていた。
その途中
「吾!」
走っている吾を見つけ声をかける。
「ゆすら、りんごが思い出したんだよ!」
何のことか解らずゆすらは吾に落ち着くように言う。
「で、何を思いだしたんだ?」
「車だよ。蜜柑と果鈴を連れて行った車がリュウのお父さんが使ってた車だってこと、だから今父さん探し出して聞きただしに行くとこなんだ。」
「それなら俺も行く。お前一人は不安があるからな。りんごは目を覚ましたんだろ?」
「ああ、じゃないと聞いてないからね。」
二人は吾の父親を捜しに町を走り出す。
これで何度目だろうか、りんごは目を覚ますと見覚えのないところに居た。
今回は縛られることなく建物の中だと言うことが解る。
隣で倒れている桃子に気が付き
「桃子、桃子!」
と呼びながら肩をゆするとゆっくりと目を開いた。
「りんご? ここ何処?」
同じようにあたりを見渡す桃子。
「よくわかんない。なんかごめん。」
「は?」
突然謝られ桃子が不機嫌な声を出す。
「あそこで桃子を連れて走り出さなかったらここには私一人だったと思うからごめん。」
「そんなこと今更どうでもいいじゃない。それより脱出よ。脱出!」
とは言ったものの薄暗いどこか建物の中と言うこと以外解っていないこの状況。
そもそもリュウはなぜりんごをさらったのだろうか?
リュウに見つかり抵抗したところで女の力が男に敵うことなく簡単に捕まってしまい気が付いたら気絶させられていたようで状況の把握ができない。
「こういうのはね、壁まで行って、そこから壁を触りながら」
「そんなことぐらい知ってるわ。桃子、テレビでドッキリに引っかかりすぎなのよ。」
ドッキリには事務所もグルなため桃子の場合犯罪に巻き込まれたというシチュエーションが多かった気がする。
だが、その時は大抵ほかにエキストラとなるドッキリのことを知っている人も一緒に捕まっていたりしているため本人がムチャして怪我するようなことは今のところない。
「あれは演技よ……」
「ならもっと威張って言いなさい。」
りんごも桃子とは反対の壁まで行き歩き出す。
「そもそも桃子にはドッキリ番組は合わないわ。リアクションが変なのよ。」
「変で悪かったわね。好感度やキャラ作り大変なんだから」
「作ったキャラで最初は受けても後々に響くのが目に見えているわ。それなら早くやめちゃってドラマでも子供っぽい役以外に幅を広げればいいのよ。そうしないと『あの人は今』なんて番組ぐらいしか出るものなくなるわよ。」
「そんなことぐらい解ってるわよ。そのための活動セーブしてるんじゃない。この間にイメチェンする予定なの!」
そんな話をしていると二人は部屋の角まで来ていた。
「案外小さい部屋みたいね。家具とかもないみたい。」
「この壁タイルかな? でもなんか違うような…」
触っている感覚が予想している物と違うがそれがなんなのか解らない。
「あ、なんかある。」
「私も何かに触った。ドア?」
「あ、ノブがある!」
桃子はドアノブと思われるものを掴んで回すも
「開かない!」
ガタガタ音はするも外から鍵がされているのかドアが動くことはなかった。
「これ何かしら?」
りんごはまた別のものが壁についているのに気付く。ついているスイッチを押すと電気がついた。
「そういうの早く見つけてくれない?」
「今気づいたのよ。」
ドアを見ながら会話する二人は振り返り室内を見渡す。
「なにこれ……」
そこにあったのは何もない空間。
だがその壁や床には人の高さぐらいまでびっしりと写真が貼られていた。
先ほど桃子がタイルだと思ったのは写真と写真の間にできた溝を触ったからだ。
「蜜柑と果鈴の写真ばっかりね。」
りんごはしゃがみこんで床の写真を見る。
「産まれたときからずっとあるみたいね。ストーカーではなさそうだけど…」
ストーカーなら産まれたばかりの写真を持って訳がない。
双子のお母さんを撮っていたならまだしも写真のほとんどが双子のものだった。
ドアの両脇に座り込みりんごと桃子は部屋を眺めていた。
「ここにいつまで居なきゃいけないのかな?」
「さあ、でもさすがに昨日誘拐されて今日も行方不明となれば気づくでしょうから」
「せめて充電があればいいんだけど……あれ?」
桃子は携帯がポケットに入っていないことに気が付く。
「あたしの携帯!?」
「リュウに持って行かれたのかしら?」
「嘘!」
体育座りする膝と胸の間に顔をうずめる。
そのまましばらく二人は無言のままだった。
先に話し出したのはりんごからだった。
「昨日、蜜柑と果鈴があの雑木林に居たわ。三人で帰ろうって言うのを私は断っちゃった。」
「そんなの当たり前じゃない。死にたいならまだしも、あたしだって嫌よ。まだあいつに言ってないことだってあるし」
桃子はすぐ脇の壁の写真に写る吾を見る。
「みんな一途でいいわね。」
りんごも写真に目を向ける。
足元の写真には果鈴とゆすらが仲良く肩を組んで写っていた。
「りんごは今誰が好きなのよ。果鈴? ゆすら? 吾?」
三人も候補に出たことにりんごは桃子を見る。
「吾はないわ。絶対。」
と言い切る。
すると桃子のジトッとした目が向く。
「悪かったわね。吾が好きで」
「そういう意味じゃない。あの時まで好きだったのは果鈴だったと思う。でもゆすらと毎日合わなくなって始めて寂しいと思った。それが何年もったって好きだったんだって気付いたの。果鈴への好きとゆすらへの好きが違うこともその時わかった。だから高校が一緒になって最悪だって思った。」
「何で? 好きって気付いたんならそれでいいじゃない。」
桃子は不思議な顔でりんごを見る。
「ゆすらは今でも蜜柑が好きなのよ。そんな人好きになったところで自分は幸せなのかなって思うと最悪な再会だと思わない?」
珍しくりんごが笑う。
「あたし達って面倒な男を好きになっちゃったみたいね。」
「本当ね。」
二人は写真を見ながら思い出話は進んだ。
その頃ゆすらと吾は町中走り回り汗だくとなったが結局吾の父親は見つからず病院に戻ってきた。
そこはやたらばたばたしていた。
「どうしたんだろう?」
「さあ?」
二人はりんごの病室に向かう。
だがその前には何人ものスーツの男性。
おそらく警察官だろう。
「あの、森野りんごの友達です。面会に来たんですけど」
とゆすらが声をかけると病室から杏が出てきた。
「桜井桃子は知らないか?」
と突然聞かれる。
「桃子ならそこのソファーで寝てたんじゃ?」
「りんごと桃子がいないんだ。どこ行ったか知らないか?」
杏が焦った顔で聞いてくる。
「まさかまた…!」
「その可能性もある。今、防犯カメラや目撃者はいないか調べているところだ。悪いが今は病院から出るな。あの二人が消えたんだ。お前らもって可能性もある。良いな。」
「はい……」
ゆすらが小さく返事をする。
吾は無言で病室のソファーに座る。
ベッドには読みかけの本とカバン。
ソファーの足元には桃子のバックと上着があった。
「桃子のことだから携帯のGPSとかつけてないかな?」
吾は携帯を操作しだすとブーッブーッと充電が切れる前に充電を求める合図が鳴り電源が切れた。
「一晩中居たんだろ。お前のがないってことは昼間に携帯を操作していることの多い桃子はもうとっくに切れてるだろうよ。」
ゆすらはベッドのカバンを見る。
ベッドの下にある靴を蹴ってしまった。
「りんごの携帯はここにある。GPSは無理だろう。」
ゆすらはふと机に白っぽい粉がついていることに気付く。
「どうした?」
「指紋を採取したみたいだな。」
吾はそれを聞き室内を見渡す。
それは窓の周辺にもついていた。
「こんな暑い日に窓開けたのか?」
吾は桃子がしたように窓から下を見下ろす。
「あ、ここにも粉がついてる。」
「今のお前と同じことをしたってことだろうな。でも下なんて見て何かあったのか?」
真下には誰かが落したのだろうスリッパが片方だけあった。
「また片方だけ……」
ゆすらは窓から離れ廊下に出る
。そこには杏がおり
「どうした?」
「この部屋の窓の下に落ちているスリッパ、もしかしたらりんごが使っていたのかもしれません。」
そこに丁度
「駐車場のカメラにトラックの荷台に積まれる人影が写ってました。ナンバーも映ってたのでNシステムで追えます。」
「この周辺には設置は少ない。しらみつぶしにこの周辺の防犯カメラの映像を集めろ。そこにそのトラックが映ってないか入念にチェックするんだぞ。」
杏の指示で男たちは病院を出ていく。
「これで見つかればいいんだが…」
杏も心配気な顔をする。
しばらくし、コンビニのカメラにトラックが写っていたと報告が入る。
そこから範囲を狭めながら次にカメラに写っている物を探していく。
そんな作業を繰り返しているとある程度ルートは解ったものの二人の居場所までは解らずにいた。
杏が疲れた顔でベッドに広げた地図とにらめっこしていると
「この辺て蜜柑のお母さんの実家があるあたりじゃないか?」
ゆすらは幼いころの記憶をたどる。
「おばさんの実家? 確か火事にあったって言う?」
蜜柑の母親の実家はとても大きく山ひとつを所有する地主であった。
だがそんな家は双子が小学校に上がってしばらくしてから火事により全焼。
祖父母は亡くなり母親の兄がやけどを負いながらも助かったらしいと聞いたことがあった。
先ほどまでわっきゃわっきゃとしていたりんごと桃子だがさすがに何時間も閉鎖的空間から出られないとなるとストレスを感じだす。
しかも夏場という喉の渇く環境で空腹でもある。
無言で床に寝転がっていた。
室内は電気がついているため今が何時か解らない。
「寝ていいと思う?」
桃子がけだるそうにいう。
「凍死するわけじゃないから平気じゃない。よくわからないけど……」
寝返りを打つと、かすかに足音が聞えた気がした。
「気のせい?」
りんごが何を言い出したのか気になり桃子も体勢を替える。
すると桃子にも数人の足音が聞えた。
「誰か来る?」
リュウだろうか、
それとも助けだろうか?
二人を不安と期待が包む。
足音がはっきりと聞こえるところまで来て止まる。
もうドアの前だろう。
「桃子!」
「りんご!」
その声に二人の意識ははっきりとする。
ドアが重たそうな音を立てて開く。
助かった。
そんな思いとは別にりんごも桃子も落とされる感覚があった。
「大丈夫だったか?」
「何もされて無いな」
りんごのもとに吾が、桃子のもとにゆすらが歩み寄ったのだ。
「大丈夫。」
「閉じ込められてただけだし」
りんごも桃子も俯きながらいうと婦人警官が近寄ってきて
「立てますか?」
と聞かれ返事をすると
「歩けますか?」
にまた返事をする。
ドラックは立花家跡の前に乗り捨てられていた。
中にはりんごのメガネもあったため二人を運ぶにの使わたのはたしかのようだ。
全焼した家は解体されることなく残されていた。
その中でつい最近動かされた痕跡のある本棚、その後ろにある地下への通路。
その先の部屋に二人は居たのだと説明された。
りんごと桃子は警察の監視の中入院することになった。
警備の関係上同室になる。
「ねえ、りんご。」
桃子が話しかけてくる。
点滴がもうすぐ終わる。
「何?」
読んでいた本を閉じる。
「二人で蜜柑達の事件、解決させよう。あいつ等なんてほっといて」
「……そうね。それもいいかもしれない。早く終わらせましょう。こんな茶番。」
裏切られた。
一方的な感情ではあったがそう感じてしまうほど恋というものは人をおろかにする。