スネークス伯爵領
スネークス伯爵領は、好景気である。
元々反乱で大不況だったのだが、パトリックが領主になってから、V字回復である。
主に酒と、新たな作物である稲とサツマイモ。
それから作る新たな酒。
木製のチェスなどなど。
そして景気が良い所には人が集まる。
商人が店を構え、店で働く人が集まり、人が増えると家を建てに大工が来る。
酒の有る所、ドワーフ有り。
ドワーフは、スネークス領軍の装備を作る。
そう、スネークス領軍、旧リグスビー領軍の生き残りと、ハーター子爵領軍の生き残りに、新たに募集した新兵と、カナーン領軍から移籍した兵達。
その数500。
パトリックは、これを鍛えた!
8軍と同じ内容で!
一年後、スネークス領軍は、地方領主の軍の中では、飛び抜けて優秀な軍となった。
緑色の制服、左胸のポケットには、蛇の刺繍。
革鎧にももちろん蛇柄の焼印が有り、毒蛇軍と怖れられる事となる。
パトリックは領内に数カ所、寺子屋を作った。
この世界の識字率の悪さを、改善したかったのだ。
領内が豊かになるのは良い。
だが、豊かになれば、悪い者も出てくる。
人を騙して儲けようとする奴らだ。
多いのは計算の出来ない相手に、お釣りを誤魔化すやり方。
なので、文字の読み書き、簡単な計算を教えた。
無料で、しかも昼飯付き。
裕福でない農家にとって、一食でも、出してくれるなら、通わせようと思えるようにしたのだ。
たいした食事では無い。
パンとスープだ。それでも貧しい農家には、飛びつく条件である。
働き手は減るが、子供を飢えさせるより、よっぽど良い。
寺子屋事業はパトリックの持ち出しで、完全なる赤字事業だが、パトリックは数年後を見ていた。




