お酒
ここで、スネークス領の話をしよう。
旧リグスビー領は、本来豊かな領地であり、普通なら、借金を抱える領地ではない。
ひとえにブタの使い過ぎが原因である。
パトリックから数えて三代前、リグスビー当主は、高利貸しを始めた。
その資金は、更に二代前から始まった、エール作りとワイン作りに使われた。
更に一代前の当主は、麦の連作による収穫の減退に気が付き、途中で豆の栽培を挟むというやり方を生み出す。
豆は、
地球で言う大豆に似た豆であった。
本来、リグスビー家とは、有能であったようだ。
領地は水に恵まれ、広大な麦畑と、ぶどう農園が広がる。
税として納められた麦は、金に換えず麦のまま、税として国王に納める。
残りの麦は、酒に変えるエールだ。ぶどうは勿論ワインになる。
食料としての麦、エール、ワインが、旧リグスビー領の主要産業である。
酒はとにかく儲かる。
作れば確実に売れるのだ。
だからこそ、王国の高利貸しとまで呼ばれるほどに、金を持っていた旧リグスビー家。
だが、ブタの散財で、蓄えはほぼ消えていた。
だが、ウエスティン家が消えたおかけで、借金も消えた。
なおかつ、ブタが集めた宝石は、そのままスネークス家に下賜されていたので、資金は充分あった。
パトリックは、大酒飲みではないが、嗜む程度はする。
前世の記憶もあって、エールにはかなりの不満があった。
パトリックは前世で、ウイスキー派だったのだ。
で、職人を呼び、蒸留器を作らせた。
エールを蒸留してウイスキーの様なものを作ったのだ。
これが当たった!
安物エールの三倍の儲けが出た。
調子に乗ってワインからブランデーも作った。
こちらは、熟成過程を酒職人とエルフの協力の元、時魔法(レア魔法である)で、一気に3年熟成という無茶をしたが。
ワインの需要が高いので、数が作れなかったが、貴族に売れば、ウハウハだった。
勿論王家にも貢物として送っておいた。
さて、旧ハーター子爵領だが、こちらは農地に向かない土地である。
原因は、広大な湖と、その周りに広がる湿地帯である。
旧ハーター子爵領の主産業は、漁業であった。
だが、養殖の技術の無い世界で、魚を摂りすぎるとどうなるかは、火を見るより明らかである。
漁獲高は年々下降し、金が無くなり借金という訳だ。
パトリックは、視察に行った時に、湿地帯にとある草を見つけた。
それもかなりの量である。
村人に、
「これ、食わないのか?」
と、たずねたら、
「麦に似てるけど、パンにならんのですだ。だで、鶏や豚に食わしてますだ」
と、答えられた。
そう、稲である!
パトリックは、すぐに稲栽培を推奨し、作った稲は、伯爵家で全て買い取ると宣言する。
勿論、日本酒目当てである。
精米技術が無いので、地球の日本酒のような透明さは無く、ほんのり茶色の酒が出来た。
あと、みりんと、大豆を使った醤油も。
新しい調味料と、新しい酒は、王都でウケた。
のちにスネークス領は、王都に次いで栄えた領地となる。
が、それは数年後の話。




