謁見
王都に戻った2軍と8軍は、2日の休暇が与えられた。
が、パトリックは、国王より呼び出されていた。
場所は、謁見の間。
膝をつき頭を下げるパトリック。
王が入場し、玉座に座る。
「パトリック・フォン・スネークス子爵、面をあげよ」
脇に控えるベンドリック宰相が言う。
「はっ!」
短く応え、顔を上げるパトリック。
「此度の件、そちの報告が無ければ、大問題になった可能性が高い。良く気が付き、報告してくれた。よって、褒美を取らす。
宰相、目録を」
王の言葉に、宰相は頷き、1枚の紙を読み上げる。
「1つ、パトリック・フォン・スネークス子爵を、伯爵に叙する。
1つ、旧ハーター子爵領の残り全部をスネークス伯爵領とする。
1つ、パトリック・フォン・スネークス伯爵を、中佐に任ずる。
以上!」
パトリックは、
「有難き幸せ、これからも国王陛下、ならびに国民の為に、この力を捧げます」
と、答える。
頷いた国王は、
「あとな、パトリック。これはワシからの褒美だ。受け取れ」
と、宰相に合図すると、宰相は小さな木箱をパトリックの前に持ってくる。
それは、掌より少し大きな木箱。
「ははっ」
と言って受け取る。
「ふむ。励めよ! あ、そうそう、パトリック」
「はっ!」
「お前、家紋の申請がまだだろ? ワシが代わりに決めて申請しておいたぞ!」
と、ニヤリと笑った王が、謁見の間から、退出していった。
パトリックは、
あ、やらかした
と、内心冷汗をかいていた。
謁見の間を辞したパトリックは、王城の中庭のベンチに座り、木箱の蓋を開けた。
「なにこれ?」
そこには、蛇の形をした腕輪が収まっていた。




