銀貨1枚
パトリックは、自分の分隊以外を、そのまま8軍の監視とフォロー用に追随させ、パトリック分隊だけ、街道から離れた。
街道沿いにある村や町を視察する為だ。
今回は冒険者に偽装し、馬で移動している。
いくつか村を見ていく。
そしてとある町に到着した時、町に入るのに、銀貨1枚取られた。
いわゆる入町税だ。
額は、領地に任せてあるわけだが、銀貨1枚は高すぎる。
安い所だと、銅貨3枚、高くても銅貨10枚がせいぜい。
「ここは、たしか?」
「はい、ニューガーデン少将の領地だったはずです」
「あの豚少将か」
町の中も、どこか活気が無い。
荷馬車の数も少ない。
そもそも町に入る馬車が少なかったからだが、原因は入町税だけなのか、他にあるのか。
とりあえず今夜の宿を決め、宿屋の食堂で聞き耳をたてる。
泊まり客が少な目なため、声が良く聞こえる。
この宿は中級の宿なので、普通なら、商人達で賑わうはずなのだが。
「俺らみたいな商隊なら、銀貨払っても何とかなるが、個人の行商には、銀貨払ったら儲け無いだろうなぁ」
「たしかにな、だから物が少なくなり、物価が上がって、俺たちは儲け多目だが、全体としては、物は無いだろうな。宿代も、前回来た時より、銅貨4枚ほど値上りしてるしな」
「こりゃ、ますます物価上がりそうだなぁ」
商人達の会話を聞きつつ、運ばれてきた食事を見る。
黒パン2個と、野菜スープ。ヒツジ肉のソテー。
食べると塩味が薄い。
パトリックは、この町だけなのか、他の町もなのか、調査が必要だと感じた。




