兵士のお仕事3
ゴブリンは二足歩行型魔物の底辺に位置する魔物である。
言わば狩られる側だ。
その上には、オーク、オーガ、トロール、サイクロプスなどなど、二足歩行型魔物が存在する。
この中で、ゴブリンを捕食する魔物は、
オークと、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ベキッィィと、木が折れる音がする。
慌ててウェインが振り向くと、
「ト、トロールっ⁉︎ なんでこんな所にっ?」
トロール、
身の丈4メートルほどで、力が強い。
ただし、知能は低く、俊敏性に欠ける。
「各自っ! 戦闘準備! 弓を持て! 攻撃は各自の判断で撃て!」
パトリックの声に皆が弓を構えて矢を放つ。
何本か刺さるが、致命傷には至らない。
ゆっくり近づいてくるトロール。
「どんどん撃て!」
ヒュンヒュンと飛ぶ矢は、トロールの腹に刺さるが、分厚い皮下脂肪により、内臓には到達しない。
「総員、槍構え!」
弓を放り投げ、槍を構える。
どうやらトロールは、1番強いと感じたのだろう、ウェインに目標を据えたらしい。どんどんウェイン目指して歩いてくる。
トロールの右手には、途中で拾ったと思われる丸太が握られている。
ブンッ!
と、音を立てて振り回される丸太。
ウェインはかわして槍を突き出す。
数十センチ刺さったが、ウェインが引っ張っても槍が抜けない。おかまいなしに丸太を振るトロール。
丸太をかわすために、槍から手を離すウェイン。
その隙に他の隊員達が槍を突き出すが、数ミリ程度しか刺さらない。
武器と腕の差だろうか。
ウェインは槍を諦め、両手剣を構える。
振り降ろされる丸太を剣でいなし、腹目掛けて渾身の力で剣を振る。
腹の脂肪を数十センチ斬ったが、トロールは呻き声をあげながら、突進してくる。
「ウェイン! しゃがめっ!」
パトリックの声に、咄嗟にウェインはしゃがむ。すると槍を腰ダメに構えたパトリックが突進してきた。
ウェインが斬り裂いた腹の傷にパトリックの槍が刺さる。
ヒギャャャァァァッ
トロールが苦痛の叫び声を上げる。
トロールとパトリックの間でしゃがんでいたウェインは、パトリックの槍を掴むと、渾身の力でトロールの腹、奥深くまで槍をねじ込む。
さらに大きな声でトロールが叫ぶと、顎が上がっていたので、喉に目掛けてウェインが両手剣を突き上げた。
ザクッという音とともに、ドバドバと滴り落ちる大量の血液に、パトリックとウェインが真っ赤に染まる。
そして、ゆっくりとトロールが仰向けに倒れた。
「トニー、トロールの首を切り落とせ」
疲れた声で、パトリックが命令した。