収穫
カナーン領での楽しい二日間を過ごし、帰路の馬車の中、体の痛みに耐えていたパトリック。
「しかし、あの2人元気過ぎだろ」
稽古をつけてくれた4人の中、特にキツかった2人を思い出す。
トローラ伯父とは良い勝負、デコース兄には1度勝てたが、門番のチャーリーと、執事のポールには、全く歯が立たなかった。
まさにコテンパンにやられた。
2人はスピードタイプで、パトリックが動くと神速の如く動くのだ。
チャーリーの槍捌きは、見事と言うほかなく、ポールは大剣を軽々と振り回すのだ。
「わかってた事だが、俺にはスピードが足りないな。帰ったらそっちの特訓しないとな。だが、収穫は盛りだくさんだな」
今回の訪問の目的は、人材確保である。
領軍しかり、屋敷の使用人の補充だ。
執事とメイド長の目処が立ったのも大きい。
ポールの甥っ子、と言っても、もう中年なのだが、サンティノと言う35歳の男が、カナーン家で働いていたのだが、スネークス家に来てくれることになった。
メイド長は、パトリックには馴染みの、母に付き添ってリグスビー家に来ていた、メイドのリーナが来ることになった。
領軍の方も、数人、カナーン家の親戚が、カナーン領軍から、スネークス領軍に移籍してくれる話になった。
カナーン家には頭が上がらないなと思いながら、
領地経営に少し明るい材料が増えて、心が少し軽くなった。




