食堂にて
ドアを開けられ、パトリックは食堂に入る。
「よく来たパトリック! いや、スネークス子爵様!」
「トローラ伯父様、やめて下さいよ、いつも通りパトリックでお願いしますよ。近衛の方は、休暇ですか?」
「いや、デコースが、子爵様と呼んだ方が良いのではないかと言うのでな、今月は休暇だ」
と、伯父のトローラが言うと、長子であるデコースが、
「いや、子爵だし、少佐だし、呼び捨てはどうかと思ってな。まあ、パトリックがそう呼べというなら、公式の場はマズイだろうけど、内輪なら今まで通りでいこうか」
と、デコースが言う。
「パトリック、久しぶりだね、活躍の話を直に聞かせてくれよ」
と、言ったのは、デコースの弟、ブロース。
こちらは、デコースより5歳年下で、カナーン家らしく、筋肉質なマッチョマン。茶髪でデコースよりは少し背が低い。
今はカナーン領軍を率いている男である。
「ブロース兄、久しぶり! いやぁ、成り行きでてんてこ舞いだったけど頑張ったよ〜」
パトリックにとって、ブロースもまた、兄と呼ぶべき存在であった。
デコースとの稽古を一緒に受けた仲である。
「パット兄! 戦の話聞かせてよ!」
と言ったのは、アイシャより1つ下の三男、アーレン。歳下なのにパトリックよりも背が高い。
「アーレンも元気そうだな。よし聞かせてやろう」
そうして、パトリックは椅子に座り、男達の戦話が夕飯の時まで続いた。




