表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/316

死神?

「あれじゃダメだな」


パトリックは先日の野外活動を振り返り、独り言を呟く。

夜の木の上は、隠れるのにも、攻撃するのにも有効だ。そこに気が付かないのは問題だ。


昼の方は、獣の巣穴に潜って、入り口を中から塞いだだけだ。

ちゃんと見てれば不自然さに、気が付いたはずだ。


寝不足による集中力の低下が、認識力を低減させたのだろう。

8軍の任務を遂行するためには、敵に察知されないように隠れたり、場合によっては逃げたりしなければならない。

一晩の徹夜くらいで、あの状態では、命に関わる事があるかもしれない。

「とりあえず訓練と、重要性の認識確認かな」





訓練所を歩くパトリックに、声がかかる。

「よう! パット! 久しぶり!」

「お、ウェインじゃないか。相当中将に鍛えられてるらしいな。噂で聞いたぞ!」


少し前まで、部下であった男だが、婚約したリア充野郎である。


「いや、それを言うなら、お前んとこの隊員が、愚痴ってたぞ。森の中で夜中まで訓練してるらしいじゃないか! オークとか出たらどうすんだ? 夜中じゃ太刀打ちできんぞ?」


夜の森での戦闘は、自殺行為であるので、この意見は正しい。

が、

「お前、俺らは夜の森を抜けて、敵の後方を撹乱するのが任務の時もあるんだぞ?

訓練で出来ないことが、実戦で出来ると思うか?」

「いやまあ、そうだけどさ。お前を探す訓練だろ? 見つけられる訳ないじゃん!」

「そんな事ないだろ? 動いてないんだぞ? 俺は!」

「動いてないから、見つけられないんだよっ! 足音もしねえお前を、見つけられるかっ!」

「なんか酷くね?」

「お前、隊員達に何て呼ばれてるか、知ってるか?」


「ん? みんな少佐って呼ぶけど?」


「それは目の前にいるからだ! 陰では《死神》って、呼ばれてるからなっ! 訓練で死の世界に連れて行かれそうだって、もっぱら噂だぞ?」

「なに? やつら、あれで死の世界とか、まだまだ甘い。今日から、本当の地獄を見せてやる」


ニヤリと笑ったパトリックに、ウェインが、

「マジで?」


呆れた声をあげる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ