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気がつかなかった
4人で食べて飲んでと、楽しく過ごし、休暇を取ってカナーン領に行く約束をして、その場が盛り上がっていた所に、新たに人が近づいてくる。
「パトリック少佐殿!」
元気な男の子の声がし、そちらを見ると、見覚えのある少年が。
「お久しぶりです」
少し前に助けたケビン様。
「お元気そうで何よりです」
パトリックも答える。
その後ろからディクソン侯爵が来る。
「お久しぶりです。ディクソン侯爵閣下」
と、パトリックが挨拶すると、
「陞爵と出世、おめでとう。パトリック少佐。活躍ぶりは聞いたよ」
と、笑顔でかえすディクソン侯爵。
2人に挨拶をし、カナーン男爵家を紹介するパトリック。誘拐の件は上手くボカした。
3家が和気藹々と話す場を、遠くから見る少女が居たが、パトリックは気がつかなかった。
そして、ケビン君を見るアイシャの目が、怪しく光っていた事にも気がつかなかった。




