とある一家
サイモン中将には息子が居なかった。
産まれるのは娘ばかり、5人の妻が居るにもかかわらずだ。
15人の娘が居ると聞く。
どうやら連れて来たのは長女であると思われる。
ウェインよりは1つ2つ上であろうか。
身長は165センチぐらいだろう。長い金髪に青い瞳、スラっとした細身だが、2つのリンゴを胸に隠しているのかと言いたくなる。
まあ、見目麗しいとは彼女の為に有る言葉だろう。
娘の方も、顔を赤らめているし、乗り気な様子。
そんな風に、ぼんやり眺めながら見ていたパトリックに、
「パット兄様!」
と、パトリックに声がかかる。
少女の声だ。
パトリックを認識できる人は少ない。
が、彼女の家系は、だいたいパトリックを認識できる。
それはおそらく、血であろう。
「お父様、お兄様! パット兄様を見つけましたよ!」
嬉しそうに後ろから来る男達に声をかける茶髪のツインテールの少女。
「元気そうだな、アイシャ。大きくなったな。りっぱなレディーだ。ただ、声が大き過ぎる。もう少し声のトーンを下げようか」
パトリックが、苦笑交じりに声をかけると、
「2年、いえもう3年ぶりでしょう! 声だって大きくなります!」
と、茶色の瞳でパトリックを見つめる元気いっぱいのポッチャリ少女。
「よう! パット! 久しぶりだな。大活躍だな!」
「うむ! 元気そうで何よりだ! パトリック!」
そう声をかけてきた、男2人。
「2人もお変わりなく。デコース兄!トローラ伯父様」
そう、母の兄と、従兄弟達であった。




