兵士のお仕事1
兵士の朝は早い。
いや、兵士に限らず、この世界の朝は早い。
電気の明かりなんて物はないので、夜の明かりは、ロウソクか薪だ。
ロウソクは結構高い値段であるし、庶民は薪を利用する事が多い。だが薪も金がかかる。
なので、庶民は日の出と共に行動を開始するのだ。
兵士も例外なく、日の出と共に行動だ。
先ずは早朝ランニング。重い荷物を背中に背負い、訓練場をひた走る。
それが終わると朝食。
メニューは、黒くて固いパン。
豆のスープ。ベーコン。
以上!
ベーコンがあるだけ上等である。
食べたら、勤務開始だ。
勤務内容は色々あるが、主なものは、王都の治安維持の巡回。コレは日本の警察みたいなものだ。
次に、王都の門番。
コレは犯罪者の侵入防止と、不正な品物の流入を防ぐ目的がある。馬車の荷台を検めたり、犯罪者の人相書きに近い人物が居ないかを見るのである。
次が、王都周りの巡回。
この世界はいわゆる剣と弓のファンタジー。
当然、既に出たオークみたいな魔物がいる。
他にも定番のゴブリン。
小柄な魔物だが、群を作るので厄介だ。
オーガ。
オークよりも力強く、知恵もある魔物だ。
竜種。
ワイバーンなどもここに入るが、様々な種類の竜がいる。
他にも存在するが、ここでは割愛する。
を、早期発見し、排除するのが巡回の目的だ。
冒険者というのは、だいたい地方で依頼を受けて、魔物を倒したり、薬草を取ってきたりする人のことを言う。
王都周辺にも薬草は生えているので、今回オークの群れを発見した冒険者は、薬草採取メインの冒険者であった。
「今日はハズレっぽいかな〜?」
「昨日は三匹出たらしいぞ?」
「マジか、じゃあ今日はなしかもな」
隊員たちは愚痴りながら歩く。
ゴブリンは群る。
一匹見つけたら三匹はいると思え。
コレがゴブリンの常識だ。
最後の三匹だった可能性の話だ。
「また湧いてるかもしれんのだから、気を抜くなよ」
小隊の副隊長、ウェインが言う。
「はいっ! 了解であります」
一等兵が返事する。
「隊長はどう思う?」
「昨日出たのは久々にだろ? まだいそうな気がするなぁ」
パトリックが答える。
曹長に昇進して、一個小隊を任されたからだ。
軍の最小単位は分隊である。
一個分隊が、3人。
分隊3つで、一個小隊。
3×3の9人プラス小隊長の10人で、一個小隊となる。
曹長の下に軍曹や伍長、兵長や上等兵、一等兵、二等兵で構成される。
俺の次が軍曹のウェイン。なので副隊長だ。
「もう少し奥に行ってみるか」
全員に言い聞かせる。