裁き?
とりあえずの戦は終了した。
反乱は鎮圧、帝国の侵攻は返討ち。
反乱した貴族家は、基本取り潰し。
領土は、一旦王家に返還となった。
ある家を除いて。
「さて、兄上達、無いとは思うが、申し開きはあるのかな?」
パトリックは、目の前に居る茶髪の青い眼をした、筋肉も脂肪も付いてる男2人に聞く。
お分かりの通り、パトリックの兄2人だ。
砦から馬車で逃げだしたのを、しっかり捕縛されたのだ。
「パトリックッ! 早く縄を解け! お前誰に口聞いてんだ!」
「そうだ! 早く解け! 私は次期男爵家当主だぞ!」
全く解ってない2人。
「少尉、この2人、頭に虫でも湧いてるのか?」
聞いたのは、わざわざ来てくれたサイモン中将。
「このジジイ! 誰に向かって言ってんだ!」
自国の中将、貴族で、しかも侯爵閣下に、これは無い。
「黙れ! 兄上! いや、兄と呼ぶのもムカつく! いいか虫ケラ! この方は、王国中将にして、上級貴族のサイモン侯爵閣下だ! たかが元男爵家の跡取り程度が誰に向かって口を開いておる! その口を開くな!」
と、言いながら、パトリックは、長男の顔を蹴りつけた。
「まあまあ、ここはパトリックの顔に免じて、黙認しよう。パトリック、こやつらの処分はお前に任せて良いと、陛下から言われておる。ワシは見届けるだけだ。一言アドバイスするなら、パトリックの下す処分で、今後のパトリックの評価も変わるという事を言っておく」
「はっ! 承知いたしました」
「では、任せる」
サイモンは、近くの椅子に腰をかけた。
この場には、中将の他にも、法務長官の侯爵や、軍上層部も居た。
「では、今回の処分を言い渡す前に、俺からお前達に伝えておこう。クソ親父と、お前らを産んだブタは、俺がしっかり仕返ししてから、殺しておいた」
「なっ! なに⁉︎」
「きさまっ!」
2人はパトリックを睨むが、パトリックは気にせず、
「で、お前達の処分だが、長男は、当主の反意を止める事が出来なかっただけでなく、反乱に加担した罪で、王都を引き回しの上、石投げの刑の後、打ち首。
次男は、うちの兵達による尋問の練習の後、手足を斬り落とし、死ぬまで逆さ吊りの刑。以上!」
その後、2人の罵声がパトリックに浴びせられるが、パトリックの表情は、晴れやかだったという。
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「なんと言えばいいのか、それほど家の人間が嫌いなのだろうなぁ」
「まあ、聞いた事が事実なら、納得できはするが、なかなか冷酷だな」
「陛下への報告は、ワシがしておく。2人は戻って良い」
2人は部屋を出て、サイモン中将のみ控え室に残っていた。
そこに護衛を連れた王と、パトリックの監察官のジョシュがやってくる。
「陛下!」
臣下の礼をとるサイモン中将に、
「よいよい、サイモン。まあ座れ。そしてお主も一緒に報告を聞こうではないか」
と、言った。




