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黒煙

「サイモン中将! 砦から黒煙です!」

報告に来た兵より先に外に出た中将は、赤く光る砦から立ち昇る黒煙を見てニヤリと笑って、

「出撃準備だっ! 急げっ!」

と、怒鳴った。



食料庫は燃える、それは多少水をかけても消えはしない。元々砦には数カ所の井戸が有るだけで、飲み水には困りはしないが、大量の水が有るわけでは無いのだ。

桶とロープで汲み上げた水をかけたところで、まさに焼け石に水。

だが、食料の為にはやらない訳にはいかない。

兵が総出で水を汲み、走り回っていた。

砦の上に在るべき弓兵すらも。

そして、裏門が静かに開いた事に気が付いた兵は居なかった。





門を開けたパトリックは、砦の外を確認する。

そこにはしっかりと王国軍が居た。



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