動き出す
パトリック達4人は、あの後一向に現れない他の家を諦め、西の砦に向かっていた。
「結局カーリー家と、うちの馬鹿と豚しか殺せなかったなぁ」
パトリックの言葉に、他の3人は、
(いや、充分だろう!)
と、思ったが、口には出さない。
なにせ、パトリックの怖さをその目に焼き付けてしまったのだから。
「さて、王国軍の歩兵に合わせた進行よりは、速く着いたが、門は閉ざされてるし、どこから忍び込むべきか」
先のにわか砦と違い、全面に塀がある。
砦は既に完全防備体制。
城壁の上には見張りが居るし、門は閉じている。
が、この砦、帝国を敵と仮定して作ってあるので、王国軍は裏から攻めて来ることになる。
なので裏門は厳重に警備されているが、表、正面の門は、比較的、人数が少なかった。
正門の脇には通用門が存在し、帝国側からの商人や、軍の物資の運搬は続いていた。
パトリックは、そこに目を付けた。
正門から少し離れた、砦に向かう道。
そこにパトリック達は隠れていた。
一台の馬車が砦に向かって走っている。
帝国の商人の馬車だ。
御者1人に、護衛2人。おそらく馬車の荷台には、何人か乗っているだろう。
「ようやく一台だけの馬車だ」
パトリックは言い、
荷物の量にもよるが、中には2人と仮定し、合計5人と推測。
パトリック達は4人。
やれるだろう。
「打ち合わせどおりに! 商人は生かしておけ!」
「了解です!」
「はっ!」
「やれやれ私もか」
1人不平を言ったのは、監察官。
「貴方も軍人でしょ、協力してもらいますよ!」
「分かったよ。しっかりやるさ」




