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襲撃?

ウェスティン侯爵領から、西の砦に向かう道は二本のみ。

近いほうでは、王国軍とかち合う。

遠回りの道にパトリック達はいた。


「監察官殿、よく見ておいてくだされ。私の覚悟と行動を」


「はい。しっかりと見て、陛下にご報告を」


「では、参る。2人は監察官の護衛を頼む」


そう言って、走り来る馬車の方に向かったパトリックの背中は、1秒後には、3人の目では確認出来なかったという。




リグスビー男爵家の家紋が入った馬車に、一本の矢が突き刺さる。

「て、敵襲?」

御者の声が、どこか確信できぬような、弱々しい声であった。

それもそのはず、矢は一本飛んで来たものの、敵兵の姿や声は無い。


「おい! どうした! 敵兵なのか?!」

馬車の中から声がする。


「はっ、矢は一本飛んできたのですが、その後何も無いもので、判断に困っております」

「ふん! 一本など捨て置け。とにかく急いで砦に向かえば良い!」

「はっ!」

御者が、馬にムチを打とうとした時、馬を馬車に繋いでいた金具が外れ、馬だけが走っていった。


「へ?」

それが御者の最後の言葉であった。


「おいっ! 何をしておるかっ! 早く行かんか!」

中から顔を出したマイク。



「それは無理だな。馬が居ないのでなぁ」

王国の革鎧に、胸には少尉の階級章

そして、聞き覚えのある声と、黒い頭髪、そして何より不気味な黒い瞳。

手には剣鉈。


「パッ、パトリックっ?」


「やぁ。久しぶりだな、クソ親父殿」


「きっきさまっ! 誰に向かって口を聞いておる! それが父に向かって言う言葉かっ! 恥を知れ! だいたい何をしに来た! 貴様は王国軍に…」

指差しながら言う。


「そう、王国軍、少尉としてここに居る」


「少尉だと! 1年も経たずに少尉になどなれるはずが無いわっ! どうせ薄汚い貴様の事だ! 盗んだ階級章であろうがっ! いや、逃亡してきた可能性すらあるなっ! どうせ辛くなって帰って来て、少尉になったから、家に戻してくれとでも言うつもりであろう! が、貴様はもう我が家とは無関係だっ! 我が家は、帝国貴族となるのだ! 貴様は王国と共にくだば…うぎゃぁぁぁっっぅ!」


「全く、よく回る口だ、煩くてかなわん」

指差したままだった、マイクの人差し指が、地面に落ちていた。


「貴方っ!」

外の騒ぎに顔お出した豚、もとい正妻のマリアンヌ。


「よう! 豚! 養豚場に送られる最中か?」


パトリックの言葉に、マリアンヌは顔を真っ赤にして、

「パトリック! お前みたいな不気味な子が、私になんて口を! 許しません!」


「許さなければどうすんだ? 守銭奴はそこで転げ回ってるぞ?」


「た、直ちにこの場を去りなさいっ! それで許してあげます! 今すぐ消えなさい!」


「正気かこの豚?  頭の中に虫でも飼ってるのか?  俺は王国軍。お前らは反乱軍。逃すと思うか?」


転げ回っているマイクに向かって歩き出すパトリック。


地面に転がるマイクの腹を思いっきり蹴り、くの字になるマイクの頭をさらに蹴る。

槍をマイクの太ももに突き刺し貫通させて、地面に固定した。


「さて、クソ守銭奴。今までのお礼だ。何をされるかわかるな?」

「ま、待て! 私が悪かった、や、やめろ! やめてくれ! あんなことされたら、死んでしまう‼︎」


「死んでしまうような事を、実の息子にしてたのは誰だ?」


「あ、あれはマリアンヌがっ! マリアンヌがやれと!」


「あなたっ! 私を売る気っ⁉︎」


「うるさいっ! お前が言ったんだろうがっ! 黒い瞳なんて呪われてるに決まってると!」


「うるさいから2人とも喋るな!」

そう言って、2人の口に蹴りをくれてから、2人の履いていた靴を、口に押し込む。


ついでにマリアンヌは縄で縛ってある。




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