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放火
テントは、キャンプのときのテントではなく、軍や自衛隊が使っているような、大型の物を連想して下さい。
ある程度火がまわったのを確認し、パトリックはテントを出る。
「ついでにいくつかテントも燃やしとくか」
パトリックは他のテントにも侵入していく。
中には人が居るテントもある。
そういうテントは素通りした。
手当たりしだいに、油をかけてはテントに火をつけて回り、火が上がったテントを見て、兵達は大混乱。
走り回る敵兵の横を普通に歩いて移動するパトリック。
が、ただ1人、パトリックを認識した男がいた。
「あ、あれはお頭達を殺した護衛⁉︎」
青い眼をしたこの男、例の盗賊一味で、唯一逃げ切った男であった。
この男は、パトリックを商会の護衛だと思ったままだったが。
逃げてウエスティン領に入り込み、しかも領軍にまで採用されていたのだから、よっぽどうまく立ち回ったのだろう。
「やべえ、あの死神野郎、軍に入りやがったのか! また俺の前に来やがった、ここは逃げた方が無難だなっ!」
そういって、その男は、国境の方へと走り出した。




