本編最終話
約一年半に渡り、私の作品、
転生したら兵士だった?!〜赤い死神と呼ばれた男〜
を、愛読くださった皆様、ありがとうございます。
近いうちに、コミカライズに関するお知らせが有るので、活動報告か、このページの後書きを改稿するなどしてお知らせ致します。
また、来春には書籍の3巻が発売予定です。
書籍のために色々やってますので、お楽しみに。
では最終話をどうぞ。
全ての属国を従え、反抗する一部の抵抗勢力を、圧倒的な戦力、まあ、プーとペーにぴーちゃんだが、これでもかと痛めつけてこの世から排除し、スネークス帝国内が安定した時、パトリックは、スネークス帝国の西にあるエルフの大国に、大使を派遣する事にした。
「アストライア、不可侵条約と友好条約、この2つを頼む。エルフの国を攻めるつもりも無いし、差別するつもりもない。向こうの王族との伝手のあるお前が、一番適任だろう? 兄上殿に宜しく伝えてくれ」
と、パトリックが、元メンタル王国王都の屋敷の執事、現スネークス帝国城総責任者、アストライアに言った。
「お館様、いえ皇帝陛下。ご存知だったのですか?」
と、アストライアが、パトリックに問いかける。
「そりゃお前、自身の魔法を血筋の割に貧弱とか、自分で言うから」
「確かに言った記憶がありますが、それだけで?」
「他の者にも聞いてみたが、お前の魔法、普通以上に高度らしいな。普通は矢のスピードを上げるくらいで、方向まで変えるのは至難の業だとさ。だがそれを貧弱と言われるとなると、より強力な魔法が使える王族かなってな。で、アイン達に調べてもらった。王位争いを避け、国から出奔した第二王子の容姿にクリソツだとさ」
と、パトリックが笑いながら言った。
「参りましたね。分かりました。私、アストライア・バーデンローズは、スネークス皇帝陛下の命によりバーデンローズ王国に、スネークス帝国の使者として赴き、友好条約と不可侵条約の締結をして参ります」
「うむ、ではここでお前に爵位を与える。名をアストライア・フォン・バーデンローズ伯爵と改めてもらい、バーデンローズ王国大使に任ずる! 頼むぞ!」
「はっ! 謹んで拝命致します」
そうしてアストライアは、バーデンローズ王国に赴き、2つの条約を恒久的条約として成立させたのだった。なお、アストライアは、パトリックが山で拾ったダークエルフの女性、グレースと結婚した事もここに記す。
あの時に一緒にいた幼い女児ノエルは、ザビーン帝国に滅ぼされたソロモン王国王家の、唯一の生き残りである王女であったことを、護衛兼侍女の役目をしていたグレースから婚姻後に聞かされる。
そして、その50年後、成人したノエルとも婚姻したことにより、旧ソロモン領は、アストライアの領地となり、アストライア・フォン・バーデンソロモンと後に改名し、バーデンソロモン国として、スネークス帝国の属国になることになるのだが、それはまた別のお話。
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スネークス王国が、旧ザビーン帝国に侵攻した1年後。
「はい! 息んでー!」
と、女性の声がとある部屋に響く。
「ヴヴヴッ」
「もう少し! 髪の毛見えてるから!」
「ヴヴヴッァァッ」
「あと少し!」
「痛ったあああいぃぃっ!」
その叫び声と同時に、赤子の鳴き声が響いた。
「はい! おめでとうございます! 元気な男の子でございます! ソーナリス皇妃」
そう言われて、助産師に抱かれた子供を見たソーナリス。
「私の子、髪の毛黒いね」
そう言って、助産師から我が子を渡され、そっと抱き抱えて微笑んだソーナリス。
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数年後……
スネークス帝国を、縦横無尽に飛び交う4匹の翼竜。プーとペーに子供達だ。
その翼竜の姿を見る帝国の民は、その背に乗っているかもしれないスネークス皇帝に、感謝の気持ちを捧げる。
国内の税率が、国や領地によって違っていたのを、スネークス王国と同じ税率にさせ、民の負担が大きく減った。
その分、属国の力は減るが、各国の反乱を抑える目的も、それにより達成されている。
4匹の翼竜がスネークス王国と、スネークス帝国の城をわずか数時間で行き来するため、パトリックがどちらに居るのか分からないのも功を奏している。
旧ザビーン帝国城を改築した、スネークス帝国の城の玉座に座る、黒髪黒い瞳の男が、自家製のハチミツ梅酒ロックを飲みながら、
「兵士を頑張った。のんびり生きてる。今日も平和だ。これぞスローライフ」
と、自分の子供達が広い玉座の間で、頭をパトリックに撫でられて恍惚の表情をしているぴーちゃんの体に、体当たりして笑いながら遊ぶのを眺めつつ、楽しそうに笑った。
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パトリック・フォン・スネークス改め、パトリック・ファン・スネークス。
スネークス帝国の初代皇帝として、その後1200年に及ぶ、スネークス帝国の礎を築いたのち、80歳でその生涯を閉じる。
妻との間に1人の男児と、2人の女児をもうけ、男児はメンタル王国の貴族、カナーン侯爵当主の長女を妃に迎える。
人族初の魔法使いデコース・フォン・カナーン。
その長女は、15歳で火魔法を極める才女であった。
のちにスネークス王家の血筋には、代々魔法使いが生まれることになる。
なお、デコース・フォン・カナーンの血を受け継ぐ者達は、わずか10歳で魔法を使う能力に目覚め、
〔30歳まで、とある経験が無いという事が、能力が発現する条件では?〕
という、魔法学者の推測を否定することになり、人族の魔法能力の発現条件は、未だ解明されていない。(笑)
娘2人のうち上の娘は、親友のウェイン・フォン・サイモンの長子と結婚。
下の娘は、ミルコ・フォン・ボアの長子と結婚している。
ソーナリス・ファン・スネークス。(帝国では皇帝の妻もミドルネームを持つ)
スネークス帝国初代皇帝の妻。
独特のファッションスタイルは、最後まで大陸に浸透しなかったが、スネークス家では、その服装が正装とされ、死後も脈々と受け継がれていく。
小説家としても活躍し、その著書はベストセラーばかりである。
主な著作に、〈エリオの悲劇〉〈死神の笑顔〉などがある。享年70。
ぴーちゃん。
パトリックやソーナリス亡き後、数百年もの間、スネークス王国の守護神として、パトリックの子孫達を見守る。
成長し続けた体は、50メートルを超えた。
が、ある日忽然と姿を消した。
一説には、石炭を使った蒸気機関による大気汚染に嫌気がさしたからだという話もあるが、真相は謎のままである。
同時にプーとペーも姿を消したので、一緒に行動していると推測されている。
なお、プーとペーの子供2匹は、今もなお大陸上空を飛び回っている。
ポーや五十音達は、今もなおスネークス王国の城の堀でのんびり暮らしている。
パトリック・ファン・スネークス。
彼の事を赤い死神と呼ぶ者は、もうこの大陸にはいない。
スネークス帝国樹立後、パトリックはこう呼ばれた。
魔物を使役する王、略して……
魔王と。
転生したら兵士だった?!
〜赤い死神と呼ばれた男〜
完
という事で、赤い死神と呼ばれなくなったところで、この物語は完となります。
後日談や書籍の特典ように考えたショートストーリーの使わなかった話なんかを、気まぐれにUPするかも知れませんので、ブクマ残して置いて欲しいなぁ。
前書きでも書きましたが、ここを改稿してアナウンスすると思うので、よろしくお願いします。
令和3年1月14日、18時より、コミックアース・スター様で、コミカライズがスタートします。
3月15日に、3巻が発売されます。今回も加筆修正して書籍版ならではの書き下ろしもあります。
詳しくは活動報告に書きました。
あと、発売日前に小話投稿を予定しています。
ありがとうございました。
師裏剣。