別の次元3〜ご対面〜
神様回です。
あと、新作始めました。
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是非宜しくお願いします。
「やあ! 私としては初めましてでは無いが、君は覚えていないだろうね、パトリック」
と、意識の混濁しているパトリックに話しかける声。
「誰だ?」
と、まだ視界が回復していないパトリックが、自分への問いかけの声に、そう応えた。
「君をこの世界に呼んだ者だ。分かりやすい言葉で言うと、冥界神と呼ばれる、魂を司る神だ」
その言葉と同時に、パトリックの視界が回復する。そこには紫のヒラヒラの服を着た、30代と思わしき漆黒の頭髪に黒い瞳の人物。
「神? ソナをこの世界に連れてきた神とは別の神か?」
「ああ、そうだね。君の奥さんを呼んだのは、別の神だね」
「ふうん、それで? 冥界神と言ったか? ということは、俺は死んだのか?」
「いや、死ぬ直前だね」
「直前?」
「ああ、あと0.1秒で飛んできた矢が、君の目を貫いてそのまま脳まで達する。このまま死んで私と融合するか、もう少し生きるか選ばせてあげようと思ってね」
「融合?」
「神とは言え、不老不死では無いのだよ。他の世界で自分と波長の合う者を探し、自分の世界に呼んで、その世界と魂を馴染ませた後で融合し、変革、まあバージョンアップだね。そうして、悠久の時を過ごしながら世界を管理するのさ」
「つまり、俺やソナはこの世界の神と融合する為に呼ばれたのか?」
「この世界に変革をもたらせる役目もあるね」
「なるほど、もう一つ。さっき言った生きるのほうだが、俺はまだ生きられるのか?」
「うん、君との融合はまだまだ先だと思っていたし、魂がこの世界にもっと馴染んでからのほうが、こちらとしても都合が良いんでね。それに今回、君が死にかけてるのは、このバカのせいなんだよね」
そう言って、パチンと指を鳴らした冥界神。
突如現れた鎖に縛られた美女。
綺麗な顔が不貞腐れた表情に歪んでいる。
その美人を横目で見ながら冥界神が、
「コイツ、嫉妬の神でね。君の奥さんの事を気に入ってたみたいでさ。君にお気に入り取られて、腹いせに君の人生を潰そうとしてたんだよねぇ。幸い愛の神が君たち夫婦に加護降ろしてたから、直接君を攻撃できず、ダークエルフの男を洗脳して、力を分け与えてたの。そのせいで君の運命がかなり変わってしまったんだよね。コイツさえ余計なことしなければ、君がスネークス王国を宣言する事もなかったしね。服飾のやつが、あ、服飾ってのは、君の奥さんをコッチに呼んだ神ね? で、服飾が気がついて、私に報告してくれたから、取っ捕まえてきた」
そう言って、鎖に縛られてる美女のオデコにデコピンする冥界神。
「痛い!」
と冥界神に文句を言う嫉妬の神。
「痛いじゃない! お前のせいでパトリックが大迷惑被ってんだ! オマケにダークエルフが死んだからって、次に邪魔するのに使えそうな人を探してただろうが!」
と、冥界神が怒鳴ると、
「だって私のソナちゃんをコイツが取るから!」
「お前のじゃねぇ!」
パトリックが思わずツッコミを入れる。
「なによ! この世界にあの子が来てからずっと見守ってきたのに! あんなに嫉妬心が強くて行動派の貧乳ちゃん、他に居ないんだから!」
「俺は前世からの付き合いだ! だいたい胸の事を言うな! ソナが聞いたら神だろうが、確実に殺されるぞ!」
「私、死なないもーん!」
と、ドヤ顔の嫉妬の神に、
「いや、殺せるけど?」
と、冥界神がツッコむ。
「お願い殺さないで! 上位神のあんたには勝てないんだから!」
と、冥界神に懇願する嫉妬の神。
「ならさっさとパトリックに謝れカス!」
「うう、ごめんね」
と、嫉妬の神がパトリックに謝る。
「はぁ、まあ良いよ」
と、パトリックが言うと、
「てな事で、幸い矢はまだ刺さって無いから、ちょちょいと弄れば、なんとかなるよ? どうする?」
と、冥界神が聞く。
「ならば生きたい……またソナを置いて先に死にたく無い!」
と、シッカリと意思を示したパトリック。
「良いだろう! では生きたまえ。ただし! 私が介入出来るのは、君が生きてる間に1度だけ。つまり今回が最後だ。また私がなんとかしてくれるとは思わないように!」
冥界神がパトリックに忠告する。
「ああ、気を引き締める。冥界神ありがとう」
パトリックが頭を下げると、
「では戻りたまえ」
そう言って指をパチンと鳴らした冥界神。
頭を下げていたパトリックの姿が、その場からスッと消える。
「頑張れパトリック。ここから見護っているよ。我が加護を受けし者よ」
そう言った冥界神の口元が、僅かに微笑んでいた。




