表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
312/316

別の次元3〜ご対面〜

神様回です。


あと、新作始めました。


https://ncode.syosetu.com/n2613gq/


是非宜しくお願いします。



「やあ! 私としては初めましてでは無いが、君は覚えていないだろうね、パトリック」

と、意識の混濁しているパトリックに話しかける声。


「誰だ?」

と、まだ視界が回復していないパトリックが、自分への問いかけの声に、そう応えた。


「君をこの世界に呼んだ者だ。分かりやすい言葉で言うと、冥界神と呼ばれる、魂を司る神だ」

その言葉と同時に、パトリックの視界が回復する。そこには紫のヒラヒラの服を着た、30代と思わしき漆黒の頭髪に黒い瞳の人物。


「神? ソナをこの世界に連れてきた神とは別の神か?」


「ああ、そうだね。君の奥さんを呼んだのは、別の神だね」


「ふうん、それで? 冥界神と言ったか? ということは、俺は死んだのか?」


「いや、死ぬ直前だね」


「直前?」


「ああ、あと0.1秒で飛んできた矢が、君の目を貫いてそのまま脳まで達する。このまま死んで私と融合するか、もう少し生きるか選ばせてあげようと思ってね」


「融合?」


「神とは言え、不老不死では無いのだよ。他の世界で自分と波長の合う者を探し、自分の世界に呼んで、その世界と魂を馴染ませた後で融合し、変革、まあバージョンアップだね。そうして、悠久の時を過ごしながら世界を管理するのさ」


「つまり、俺やソナはこの世界の神と融合する為に呼ばれたのか?」


「この世界に変革をもたらせる役目もあるね」


「なるほど、もう一つ。さっき言った生きるのほうだが、俺はまだ生きられるのか?」


「うん、君との融合はまだまだ先だと思っていたし、魂がこの世界にもっと馴染んでからのほうが、こちらとしても都合が良いんでね。それに今回、君が死にかけてるのは、このバカのせいなんだよね」

そう言って、パチンと指を鳴らした冥界神。


突如現れた鎖に縛られた美女。

綺麗な顔が不貞腐れた表情に歪んでいる。

その美人を横目で見ながら冥界神が、


「コイツ、嫉妬の神でね。君の奥さんの事を気に入ってたみたいでさ。君にお気に入り取られて、腹いせに君の人生を潰そうとしてたんだよねぇ。幸い愛の神が君たち夫婦に加護降ろしてたから、直接君を攻撃できず、ダークエルフの男を洗脳して、力を分け与えてたの。そのせいで君の運命がかなり変わってしまったんだよね。コイツさえ余計なことしなければ、君がスネークス王国を宣言する事もなかったしね。服飾のやつが、あ、服飾ってのは、君の奥さんをコッチに呼んだ神ね? で、服飾が気がついて、私に報告してくれたから、取っ捕まえてきた」


そう言って、鎖に縛られてる美女のオデコにデコピンする冥界神。


「痛い!」

と冥界神に文句を言う嫉妬の神。


「痛いじゃない! お前のせいでパトリックが大迷惑被ってんだ! オマケにダークエルフが死んだからって、次に邪魔するのに使えそうな人を探してただろうが!」

と、冥界神が怒鳴ると、


「だって私のソナちゃんをコイツが取るから!」


「お前のじゃねぇ!」

パトリックが思わずツッコミを入れる。


「なによ! この世界にあの子が来てからずっと見守ってきたのに! あんなに嫉妬心が強くて行動派の貧乳ちゃん、他に居ないんだから!」


「俺は前世からの付き合いだ! だいたい胸の事を言うな! ソナが聞いたら神だろうが、確実に殺されるぞ!」


「私、死なないもーん!」

と、ドヤ顔の嫉妬の神に、


「いや、殺せるけど?」

と、冥界神がツッコむ。


「お願い殺さないで! 上位神のあんたには勝てないんだから!」

と、冥界神に懇願する嫉妬の神。


「ならさっさとパトリックに謝れカス!」


「うう、ごめんね」

と、嫉妬の神がパトリックに謝る。


「はぁ、まあ良いよ」

と、パトリックが言うと、


「てな事で、幸い矢はまだ刺さって無いから、ちょちょいと弄れば、なんとかなるよ? どうする?」

と、冥界神が聞く。


「ならば生きたい……またソナを置いて先に死にたく無い!」

と、シッカリと意思を示したパトリック。


「良いだろう! では生きたまえ。ただし! 私が介入出来るのは、君が生きてる間に1度だけ。つまり今回が最後だ。また私がなんとかしてくれるとは思わないように!」

冥界神がパトリックに忠告する。


「ああ、気を引き締める。冥界神ありがとう」

パトリックが頭を下げると、


「では戻りたまえ」

そう言って指をパチンと鳴らした冥界神。


頭を下げていたパトリックの姿が、その場からスッと消える。


「頑張れパトリック。ここから見護っているよ。我が加護を受けし者よ」


そう言った冥界神の口元が、僅かに微笑んでいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 神の意地悪で死にかける? ソナは、嫉妬の神のあんな所やそんな所を 洗濯バサミで摘んであげて
[一言] こんな加護授けられてるんだから そりゃあ死神とか呼ばれるわけですよ あと嫉妬はいつか893の嫁さんに 殴られると思うます
[一言] どこの世界でも、神の色恋沙汰はろくでもない…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ