目覚め
「何処だここ?」
思わず声に出すと、
「負傷兵救護所だ。目が覚めて良かったよ、痛みは?」
と、答える者がいた。同僚のウェインだ。
ウェイン・キンブル。
年齢は俺と同じ15歳で、身長は185センチはあろうか。金色の長髪が風に揺れる。
「よう、ウェイン! めっちゃ横腹痛いよ」
そう返事すると、
「だろうな。木の部分とはいえ、オークキングの一撃で死ななかっただけ、運が良かったな!」
青い瞳で、俺を見て微笑む。
「オークキングは?」
「あの後、俺の槍が奴の目に刺さってから、みんなでなんとか倒したよ。じゃなきゃ、ここまでお前を運べてないよ」
「スゲエじゃん! ウェインが手柄1番だな!」
「いやいや、パットだろ、あれが無けりゃ槍なんか届かねえしよ。隊長も褒めてたぜ?」
「いやぁ、吹っ飛ばされて気を失ったんだぜ? かっこ悪いよなぁ〜、お前みたいにガッチリした筋肉マッチョなら大丈夫だったのになぁ〜」
「筋肉マッチョが何だか分からんが、お前絶対褒めてないだろ? まあいいや、それより後ろに回れたのがすげえよ」
(イケメンが細かい事気にすんなって!)
「そこは俺、存在感薄いから!」
「たしかにいつも何処にいるのか分かりづれぇんだよな、パットはよ!」
「だろ?」
2人で笑うが、
「イテテッ」
笑うと横腹に響いた。
「ゆっくり寝とけよ! 俺は隊長にお前が目を覚ましたって、報告してくらぁ」
そう言って、ウェインが去る。
横を見ると、かなりの負傷兵。さらに奥のほうには、ムシロが被せてある兵も。
いったい何人死傷したのか。
オークの群れが、冒険者により発見されて、王国第1軍第3大隊に出撃命令が出て、オークの群れの討伐までが迅速に行われたので、国民に被害が無いのが救いか。
そんな事を思いながら、再び瞼を閉じた。