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宣言


一仕事やり終え、ウィリアムの下に戻ったパトリックに、少し目が血走った貴族達が詰め寄る。


「お前が王家の転覆を企んだ張本人だろう!」

「この疫病神が!」

次々と貴族達から浴びせられる罵声に、パトリックは、


「コイツらはいったい何の話をしてるんだ?」

と、近くにいたウェインに問いかける。


「それが、マクレーンの戯言を信じたようで」

と、ウェインが言うと、


「アレをか? 頭大丈夫かコイツら?」

と、罵る貴族をチラリと見て、パトリックが言うと、


「やかましい! お前が居なければ、王国は混乱してない!」

と、貴族の1人が叫ぶ。


「ヘンリーのやつが王になって、めちゃくちゃになってたかも知れないぞ?」


「あのままお前が帰らなくても、近衛達が始末したかもしれない!」


「ダメだこりゃ。理性的な話が出来ん! 仮定の話は不毛だな。義兄上、いや、ウィリアム王太子殿下、いえ、もう陛下とお呼びしましょう。陛下のお考えはいかに?」

と、パトリックは貴族を相手にするのをやめて、ウィリアム王太子に話を振る。


「私は、パトリックが原因だと思っていない。弟、ヘンリーの時に、私達を感情むき出しで救ってくれた時の姿に、嘘偽りは無いと信じている! ただ……」


「ただ?」


「このように私の派閥から多数の者が、パトリックが黒幕だと言い出している。これを話合いで解決するには時間がかかる。私に意見する者まで出る始末。どうしたものか」

と、困惑顔のウィリアム王太子。


「はぁ、なるほどね、分かりました。陛下、私は陛下に対する気持ちに変わりは有りませんが、緊急事態です。私の行動に何も言わずに許可を頂きたい」


「なにをする気だ? 出来れば殺さないで欲しいのだが」


「殺し無しか……ならばアレかな? 分かりました殺し無しの選択をします」


「では、パトリックを信じて、許可を出す!」


「有り難き幸せ」

そう言ってウィリアムに一礼してから、パトリックは目の血走った貴族に顔を向け、


「では、私がこの国から居なくなれば満足か?」

と、貴族達に目を向けて問いかけた。

多数の者が頷き、代表したかのように、とある侯爵が、


「もちろんだ!」

と言った。


「ならばこの国から独立させてもらう。スネークス辺境伯領は、今、この時より、スネークス王国を名乗る! では、さらばだ!」

そう言って歩き去ろうとするパトリックを、3人の貴族が剣を抜いて、


「正体を現したな! この裏切り者めが! 生きて帰れるとでも思ったかぁ!」

と、剣を抜き斬り掛かってきたのだが、左腰の刀を抜いて右側から回転するように、振り向きざまにその貴族達の胴体を、大根でも切るかの如く、斬り裂いた。


たった一振り。

その一振りで、3人同時に斬ったのだ。

下半身は立ったまま、上半身が次々と地に落ちる。


「口だけのカスがっ! 陛下の御前で恥を知れ! 魔物と常に戦ってきた私に、勝てるとでも思ったのか? そこで呆気にとられて口開けてる馬鹿共! 皆殺しにしないだけ有り難いと思え! 陛下、いや、メンタル王! 申し訳無い! 3人斬りましたが自己防衛の為、許して頂きたい。では失礼します。プー! 来い!」


その声を聞き、上空で旋回していたプーが、猛スピードで降下して、地響きをたてて着地した。プーの背に乗り、上空へと舞い上がったパトリックは、


「スネークス辺境伯領はたった今、スネークス王国として独立を宣言する! そしてスネークス辺境伯軍は、今よりスネークス王国軍と呼称を改める! スネークス王国軍、スネークス王国に帰還せよ! 繰り返す! スネークス王国軍は帰還せよ! 道を塞ぐメンタル王国軍兵が居たなら、斬り捨てて良し! 8軍と2軍は私の指揮から離れることになるが、スネークス王国に亡命するなら歓迎する! その他の者も亡命するなら受け入れる! 以上!」


そう言って飛び去るパトリック。



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― 新着の感想 ―
[一言] どういう事だってばよ・・・
[気になる点] この状況で殺すなとか馬鹿な事をいう陛下は見限って正確
[気になる点] ここで僭王となるとは意外。 どうなる?
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