拒否
皆様、2巻の表紙のソーナリスはどうでしたか?
え? まだ見てない?
是非見て下さい。
パトリックが、部屋という部屋に立ち入り、人を捜して回る。
明らかな使用人は放っておき、アヤシイ人物は拘束していく。
妻や子供の情報に合う年齢の人物をだ。
まあ、妻は間違えようが無かったのだが。
当主の部屋に隠れていた妻らしき女を発見し、パトリックは、その服装を見て確信した。
「夜中の服装じゃねーな」
そう言ったパトリック。
ナイトガウンのあちこちに光る宝石。
金糸を使った豪華な刺繍に、家紋入り。
「キュリアル夫人で間違い無いな?」
と、言葉を発したパトリックに、
「違う! 私はただの使用人よ!」
と、返した女。
「そんな豪華なナイトガウンを着た使用人がいるかっ!」
と、パトリックは突っ込む。
「コレは借りたのよ!」
と、白々しい事を言う女に、
「信じられるかっ!」
と、当然の事を言うと、
「ほんとよっ!」
と叫ぶ女に、嫌気が差したパトリックは、
「ただの使用人なら、面倒だからこの場で切り捨てる!」
そう言って右腰の剣鉈に手をかけると、
「いやよっ! 使用人じゃないわ! 殺さないで!」
「最初からそう言えよカス! 息子はどこだ?」
「使用人の子供達と一緒に居ます」
「ふん、悪知恵使いやがって」
そう言いながら、夫人の手首を腰の後でロープで縛り、前を歩かせて息子の下へと歩かせる。
見つけた息子と共に、夫人をキュリアル男爵家の馬車に簀巻きにして放り込み、
「プーッ! 降りてこーい!」
と、大声でプーを呼び寄せる。
庭に降り立ったプーの背の籠の中で縮こまるアリシア第3王妃。
震えるアリシア第3王妃にパトリックが、
「おや? どうしました?」
と、聞くと、
「どうしたもこうしたも、空の上をあんな速さで飛ぶ翼竜の上で、平気なわけがないでしょう!」
と、アリシア第3王妃に怒鳴られた。
「いや、他に方法が無かったもので」
と、パトリックが頭を掻きながら言うと、
「まあ、助けてもらったことには感謝しますけど……」
「けど?」
「この恐怖の恨みは忘れませんからね!」
と、パトリックを睨んで言った、アリシア第3王妃なのだが、
「えーと、まことに言いにくいのですが、今からの予定です。アリシア王妃様には、北のアボット辺境伯領に避難して頂きたく思いますので……」
と、説明を始めたパトリックに、
「いやよ!」
と、拒否するアリシア第3王妃。
「娘さんの所が嫌ですか?」
「嫌なのはそっちじゃないわよっ!」
「しかし他に方法が無いので」
「普通に馬車で行けばいいじゃないの!」
「それだと時間がかかりますし、こちらには味方の兵もいませんし!」
「また空とか、絶対嫌〜!」
半ベソのアリシア第3王妃が、駄々をこねるのだった。