マクレーン
9月15日に、2巻の発売となります。
今回も、加筆修正して、追加エピソードに書き下ろし収録。初回同梱版書き下ろしSSと、盛り沢山です。よろしくお願いします。
パトリックは、再びプーの背に乗り上空へ。
向かうは西の、スネークス領。
最大全速で帰るとアインを呼び出し、指令を与える。
「第3王妃のアリシア様の行方を追え。どこに閉じ込められているか探せ。モルダーにも探させろ!」
パトリックの強い言葉に、
「了解致しました!」
アインは敬礼して応じた。
「私は南に飛ぶので、報告は南に」
「はっ!」
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その頃王都は、王城を取り囲むサイモン派の兵士と、王城に篭城する、マクレーン第3王子に協力する者達の睨み合いであった。
王城の堅牢さに、サイモン派は攻めあぐねており、マクレーン側はというと、チマチマと弓矢で攻撃するのみで、まともに戦闘をする気配は無かった。
「南方面軍やプラム王国軍が到着するまでに、どのくらいかかりそうなのだ?」
マクレーン第3王子が、声に出す。
「ディクソン領を落とすのに、10日ぐらいは必要でしょうから、20日ほどを耐えて、兵を温存しておきましょう」
と言ったのは、ガナッシュ中将。
「では、私は姉上のご機嫌伺いに行ってくる」
そう言って立ち上がるマクレーン。
王城の中にある離れで軟禁中の、第2王妃の部屋に入ったマクレーンは、
「やあ姉上。後一月ほどで、プラム王国に嫁ぐ事になりそうだが、心の準備は出来たかな?」
と、第2王妃のフィリアには目もくれず、同じ部屋に居るソフィア第2王女に言った。
「嫁ぐと言うより、売り渡すの間違いでしょう?」
ソフィア第2王女が、マクレーン第3王子を睨みながら言い返す。
「おやおや、ずいぶんな言い方ですな姉上。軟禁でこの離れから出られない姉上を、外の世界に出してあげる恩人に、なんて言い方ですかな?」
と、おどけて言うマクレーン第3王子。
「使い道のない王女を、体のいい口実でプラム王国に追放したいだけでしょうに」
「まあ、間違いでは無いですがね。姉上と、ウィリアム兄上と、ソーナリス。3人は私にとって邪魔なのでね。ウィリアム兄上とソーナリスには消えてもらう予定ですが、姉上は生かしてあげるだけ感謝して欲しいものですな!」
「そんな事出来るはずないでしょう! マクレーン、あなた、あの男の事忘れてない? あの死神を!」
そう言ったソフィア第2王女に、
「あの男の事を口に出すな!」
そう言って、ソフィア第2王女を殴ったマクレーン第3王子。
「あの男のせいで、私の初仕事はショボイ脱税の取り締まりになるし、ウィリアム兄上に肩入れしてるから、王太子派が力を持って私の派閥が蔑ろにされるし、せめて公爵にでもしてくれるなら、私も納得して許せたのに伯爵でスタートとか、父上が馬鹿な事言うからこうなるんだ! 奴には死んでもらう!」
そう言い放った、マクレーン第3王子。