命令は出た
次の日、王城に最悪の知らせが届く。
「何? ウエスティンが裏切っただと‼︎」
「はっ! 西方面軍が帝国と交戦している背後から、ウエスティン侯爵領軍の攻撃を受け、西方面軍は多数の被害。ラニガン少将は討死。生き残った兵は、南方に撤退。援軍に向かっていた、南方面軍と合流し、そこでウエスティン軍、帝国軍の混合部隊と現在睨み合い。私は、南方面軍大佐の命令にて、報告に来た次第です」
「ラニガンほどの男が…」
「は、少将は『殿はワシがとる、皆は南に退却しろ』と仰り…」
兵の目に、光るものが流れる。
「ウエスティンめ! 帝国と通じておったか! 王都の兵を動かすぞ! 中将! 急げ! 裏切り者のウエスティンと、帝国軍を殲滅しろ!」
王は怒りで声を荒げる。
「はっ! では、急ぎ準備します。失礼!」
「リグスビー少尉。出動命令だ」
手渡された書類を見て、リグスビーは目を見開く。
「ウエスティン侯爵軍が…」
「裏切ったらしい」
「よろしいのでしょうか? 私はリグスビー家。ウエスティン侯爵家と同じく西方の領地、しかもウエスティン家の犬とまで言われてる家ですが? うちのクソ親の事ですから、おそらくうちの家も、ウエスティン家と手を組んでると推察します」
「なに?」
「私は、リグスビー家が裏切ろうとも、国を裏切る気は、微塵も御座いませんが、周りはそうは思わないでしょう?」
「むむむ、しばし待て! 上に判断を仰ぐ」
「は! 場合によっては、私を牢に入れて置いても構いません。部隊は、ウェインにでも指揮をさせれば良いでしょう」
「それもふまえて、上に聞いてくる!」




