動き出す帝国
「帝国が動いた⁉︎」
「ああ、どうやら来たらしい」
そんな噂が軍の中で飛び交う。
とある部屋。
そこには煌びやかな衣装を着たおっさんと、軍服に身を包んだおっさん達、線の細めなおっさん達が集っていた。
王と、将軍達と、宰相などの大臣達だ。
部屋は、王城の一室であった。
「で?」
と言ったのは50歳ぐらいの、銀髪の男。
「現在、西方軍が国境にて応戦。一進一退です、陛下」
と言ったのは灰色の髪の中年男性。
少し太めの体形と細い目が印象的な、ベンドリック宰相。
「ウエスティンは何をしておるのか!」
王はイラついた態度で言い放つ。
「どうも、兵を整えるのに時間がかかっているとの報告が」
「整えるも何も、あそこは兵を減らし過ぎだ! とても国境付近の領地を持つ貴族の行動ではない!」
と言ったのは、白髪の短髪に口髭を生やした体格の良いサイモン中将。
「奥方が、金を湯水のように使っておるとの噂もありましたな」
「噂ではなく、事実だろう? 税は例年と同じ金額を納めておるから、様子見しておったが、不味かったな」
「西方面軍は、兵2000名だったか?」
「は! 兵2000が、砦に駐屯しておりました。急ぎ兵1000を南方軍より、援軍に向かう指示を出しましたが、敵の数がよくわからんので、密偵を走らせました」
「うむ、場合によっては、王都軍も出す事になるやもしれん、準備はしておけ」
「はっ!」
「まあ、西方面軍がすぐに落ちる事はなかろう」
「はい!」
「南は友好国ゆえ、1000動かしても、大丈夫だろうが、北と東は、減らす訳にはいかんからのぉ」
北は山岳地帯に住んでいる部族が、しょっちゅう領土侵犯をする。
東は竜の巣と呼ばれる森があり、ワイバーンが時々飛来する為、軍がそれを撃退するのに、動かす訳にはいかなかった。




